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Daimler、「メルセデス・マイバッハ」ブランドのEVコンセプトカーを披露

2017/08/21
(月)
SmartGridニューズレター編集部

ドイツDaimlerは、「メルセデス・マイバッハ」の電気自動車のコンセプトカー「Vision Mercedes-Maybach 6 Cabriolet」を披露した。

ドイツDaimlerは2017年8月19日、メルセデスの最高級ブランドである「メルセデス・マイバッハ」の電気自動車(EV)のコンセプトカー「Vision Mercedes-Maybach 6 Cabriolet」を披露した。披露の場となったのは、アメリカ・カリフォルニア州のモンテレー半島。毎年8月半ばに開催する「Monterey Car Week」というイベントの会場となっている。イベントの終わりには「Pebble Beach Concours d'Elegance」というイベントがあり、各自動車メーカーが豪華な新車両やコンセプトカーを披露する場となっている。Daimlerは2016年もPebble Beach Concours d'Eleganceで、メルセデス・マイバッハ ブランドのEVコンセプトカー「Vision Mercedes-Maybach 6」を披露している。

図 Daimlerが今回披露したコンセプトカー「Vision Mercedes-Maybach 6 Cabriolet」(手前)。奥の赤い車両は昨年披露した「Vision Mercedes-Maybach 6」

図 Daimlerが今回披露したコンセプトカー「Vision Mercedes-Maybach 6 Cabriolet」(手前)。奥の赤い車両は昨年披露した「Vision Mercedes-Maybach 6」

出所 Daimler

今回、Daimlerが披露したVision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletの駆動機構や走行距離は、昨年披露したVision Mercedes-Maybach 6と共通している。どちらも駆動用モーターを4基搭載した4輪駆動車で、最大出力は550kW(750馬力)。停車状態から4秒未満で100km/hまで加速する。最高速度は250km/hだ。

満充電状態からの連続走行距離は、ヨーロッパの自動車メーカーが採用しているNew European Driving Cycle(NEDC)基準では、500kmを超える。一方アメリカの自動車メーカーが採用している基準であるアメリカ合衆国環境保護庁(EPA:United States Environmental Protection Agency)の基準で測定すると、200マイル(約322km)以上になるという。また、わずか5分の急速充電でおよそ100kmを走行できるだけの電力を充電できる機能を供えているところも共通している。

蓄電池は車体の底に敷き詰めるように並べる。昨年、Vision Mercedes-Maybach 6を披露したとき、Daimlerは搭載する蓄電池の蓄電容量をおよそ80kWhとしていたが、今回のVision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletが搭載する蓄電池の蓄電容量は明かしていない。しかし、駆動機構や性能が共通していることから、ほぼ同じ値になっていると考えられる。

2台のコンセプトカーの異なる点は、内装と外装になる。まず、昨年公開したVision Mercedes-Maybach 6は2+2シーター(車室後部にごく狭い2人乗りのシートを配置している)構成だったが、今回披露した車両は2シーター構成だ。そして、天井を開くことができる、コンバーチブルタイプとした。

図 Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletの運転席と助手席を後方から撮影した写真

図 Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletの運転席と助手席を後方から撮影した写真

出所 Daimler

外装は、デザインが大きく異なるものになっているが、車体サイズはほぼ共通している。昨年公開したVision Mercedes-Maybach 6は全長5.7m、全幅2.1m、全高1.328mだが、今回公開した車両は、全長と全幅は同じ値で、全高が1.34mとわずかに高くなった。

Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletは、昨年公開の車両に比べると、車内情報システムが進化している。運転手に状況に応じて必要な情報を提供するところは変わらないが、今回は運転手の1日のスケジュールのデータを取り込んで、スケジュールに合わせてナビゲーションの目的地を自動で設定する機能が加わった。さらに、運転手が自然言語で車両に話しかけることで、車両の機能を呼び出せるという機能も入った。この機能は、事前に指定したいくつかの言葉だけに反応するものではなく、友達と日常会話を交わすように話しかけることで、必要な機能を利用できるという。

今回のイベントではDaimlerは、Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletの開発中の車両を会場に持ち込み、来場者が車両に触れられるほど近いところから、車両を見られるように展示した。今回披露したVision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletは、将来の自動車のあり方を示すもので、市販を目指してすぐに開発を進めるというものではない。巨大なエンジンを搭載する超高級車であるMercedes-Maybachブランドの車両は、EV化するにしてもかなり先になるだろう。それでも、実際に動くコンセプトモデルを持ち込み、来場者が自由に見ることができるように展示したということは、「その気になれば、近いうちに製品化できる」という自信の現れではないだろうか。

図 展示の様子。来場者が車両のすぐそばまで近づいて、車内を見たり、写真を撮影したりしている

図 展示の様子。来場者が車両のすぐそばまで近づいて、車内を見たり、写真を撮影したりしている

出所 Daimler

またDaimlerは、Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletが実際に動いているところを撮影した動画の公開も始めた。映像からは、ゆっくり走行する様子しか見られない。まだ、モーターや蓄電池などの駆動部分を開発が進んでいないのかもしれない。

動画 Vision Mercedes-Maybach 6 Cabrioletが実際に動いているところ

出所 Daimler

Mercedes-MaybachブランドのEVが市場に出るとき、今回開発したコンセプトモデルと同じものになるとは考えにくい。その間にモーターなどの駆動機構は進化するはずだ。さらに、蓄電池はリチウムイオン蓄電池に代わるまったく新しい方式が実用のものになっている可能性もある。いつか発売するMercedes-MaybachブランドのEVがどのような形になるのか、期待しながら待ちたい。


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