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富士通、橋梁に貼り付けた加速度センサーの検出値を分析して内部の損傷を検知する技術を開発

2017/08/30
(水)
SmartGridニューズレター編集部

富士通と富士通研究所は、橋梁の表面に貼り付けた加速度センサーで、橋梁内部の損傷度合いを推定する技術を開発したと発表した。

富士通と富士通研究所は2017年8月28日、橋梁の表面に貼り付けた加速度センサーが検出したデータから、橋梁内部の損傷度合いを推定する技術を開発したと発表した。過去にモニタリングシステム技術研究組合が、実物の橋梁構造物と荷重装置を使って実施した橋梁の損傷度合いを調べる実験を実施しているが、その実験データと今回開発した技術による解析結果がほぼ一致したことから、富士通と富士通研究所は今回開発した技術が、実際に橋梁の損傷度合い診断に使えるものと考えている。

高度経済成長期に建設した橋梁などの社会基盤や高層ビルなどが今、続々と寿命を迎えており、損傷の度合いによっては建て直しが必要な例もある。現在は維持管理のために專門の作業員が目視で損傷の進み具合を検査しているが、目視で正確に判断できる作業員は不足している。その結果、専門技術を持つ作業員に業務が集中して、作業員の過重労働や、1回の診断当たりのコスト上昇などが問題となりつつある。

この問題を解決するために、ドローンに搭載したデジタルカメラによる画像を機械学習で分析して、大きな事故につながる損傷を検出するといったことに挑む企業も現れているが。しかし、画像からの分析では、橋梁表面の損傷しか検知できない。最近は橋の上を走る車両などの重みを橋桁や橋脚に伝える「橋梁床版」に振動を検知するセンサーを取り付け、そのデータから損傷の度合いを判断しようという試みに取り組む例もあるが、データから床版内部の損傷を正確に把握する手法が課題となっていた。

富士通と富士通研究所が今回開発した技術を活用できれば、目視やドローンによる検査よりもはるかに低いコストで、損傷度合いをより詳細に把握することが可能になる。床版に振動を検知する加速度センサーを貼り付け、振動の変化を示すデータを深層学習などのアルゴリズムで分析することで、床版内部の損傷を推定する。モニタリングシステム技術研究組合が過去に床版の実物を使って損傷度合いを確認する実験の結果を照らし合わせると、富士通と富士通研究所が開発した手法でほぼ間違いなく床版内部の損傷を検出できるということまで分かった。

図 振動を示すデータを分析し、その結果を3次元空間に配置したところ。問題がない場合は、データを示す点が集中するのに対し、問題がある場合は点群がいくつかに分かれてしまう

図 振動を示すデータを分析し、その結果を3次元空間に配置したところ。問題がない場合は、データを示す点が集中するのに対し、問題がある場合は点群がいくつかに分かれてしまう

出所 富士通

検証の結果、橋梁表面の1カ所に貼り付けた加速度センサー1つの検出値を解析することで、橋梁表面だけでなく橋梁内部の損傷を広い範囲で検出できることが確認できたとしている。また、今回開発した技術は内部の歪みも検知するという。そのため、損傷発生の初期段階から検出が可能になり、早期に対策を打つことができるようになる。

富士通と富士通研究所は今後、実際の橋梁で実証実験を重ね、センサーの検出値を遠隔地で受信して高い精度で推定できるシステムの構築を目指す。2018年頃の実用化を目指しているという。


■リンク
富士通(富士通研究所)

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