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NTTドコモ、IoT端末向けLTE通信の新料金プランを発表ー消費電力節減技術も提供開始

2017/09/26
(火)
SmartGridニューズレター編集部

NTTドコモは、IoT端末向けLTE通信サービスの新しい料金プラン「IoTプラン」「IoTプランHS」を発表した。

NTTドコモは2017年9月26日、IoT端末向けLTE通信サービスの新しい料金プラン「IoTプラン」「IoTプランHS」を発表した。10月2日から提供を始める。NTTドコモの「LTEユビキタスモジュール」のユーザーと、各メーカーが提供している端末の中でもNTTドコモがこのプランを利用可能とした端末のユーザーに提供する。これまでIoT端末向けの提供していた料金プラン「LTEユビキタスプラン」に比べて、料金体系をシンプルにし、1回線あたりの利用料金を400円(税別:以下同様)からと、全体的に価格を下げた。

IoTプランは、少量のデータを送信するセンサー端末などを想定したプラン。通信速度は送受信最大128kbpsと決して速くはないが、安価に利用できる。IoTプランHSは、監視カメラの画像送信やIoTゲートウェイ機器の通信など、大容量データの送受信を想定したプラン。通信データ量が3Gバイトに達するまでは、LTE標準と変わらない速度で通信できる。

図 NTTドコモが発表した「IoTプラン」「IoTプランHS」の料金体系

料金プラン 基本使用料(月額) 無料通信分 従量課金の通信単価 従量課金の上限額 通信速度
IoTプラン 2年定額契約あり 400円 922円分(約30Mバイト) 1Kバイト当たり0.03円 1200円 送受信最大128kbps
2年定額契約なし 800円 922円分(約30Mバイト) 1600円
IoTプランHS 2年定額契約あり 600円 4608円分(150Mバイト) 2900円 標準的なLTEの速度(3Gバイトを超えると送受信最大128kbps)
2年定額契約なし 1000円 4608円分(150Mバイト) 3300円

出所 NTTドコモ

「IoTプラン」「IoTプランHS」ともに、従量課金の上限額に達したら、以降は無料で通信が可能となっている。ただし、IoTプランHSの場合は、通信データ量が3Gバイトを超えると通信速度が送受信最大128kbpsとなる。

図 「IoTプラン」「IoTプランHS」の料金のイメージ。上限額に達したらそれ以上通信しても通信費は発生しない

図 「IoTプラン」「IoTプランHS」の料金のイメージ。上限額に達したらそれ以上通信しても通信費は発生しない

出所 NTTドコモ

そして、今回の新プランの提供開始に伴って、従来提供していた「LTEユビキタスプラン」の新規受付を終了する。受付を終了するのは、「LTEユビキタスプランS」「LTEユビキタスプランM」「LTEユビキタスフラット」「LTEユビキタスプランS(高速オプション)」「LTEユビキタスプランM(高速オプション)」の5プラン。2018年1月31日をもって、受付終了となる。

またNTTドコモは同日、IoT端末向け通信の消費電力を削減する通信技術「eDRX(extended Discontinuous Reception)」の提供を10月2日から開始すると発表した。さらに、従来のUIMカード(USIM【Universal Subscriber Identity Module】カード)よりも通信時に消費する電力を抑えた「ドコモUIM(M2M)バージョン6」も開発したと発表した。新UIMカードは2017年内に提供を始める予定。

従来の技術では、信号の受信とスリープを短い間隔で繰り返すことで、消費電力量を抑えていたが、eDRXでは1旦受信したら比較的長いスリープに入る。受信間隔を広げ、その間のスリープ時間を伸ばすことでさらに消費電力量を削減する。

図 eDRXでは受信間隔を広げ、スリープ時間を長くすることで消費電力量を削減する

図 eDRXでは受信間隔を広げ、スリープ時間を長くすることで消費電力量を削減する

出所 NTTドコモ

そして、新開発のUIMカード「ドコモUIM(M2M)バージョン6」では、UIMカードへの電力供給方法を変えて消費電力量を削減する。従来のUIMカードでは、機器が動作している限り、常にUIMカードに電力を供給していたが、新しいUIMカードでは通信している時に限ってUIMカードに電力を供給する。

図 新開発のUIMカードでは、通信時に限って電力を供給することで、消費電力を削減する

図 新開発のUIMカードでは、通信時に限って電力を供給することで、消費電力を削減する

出所 NTTドコモ

NTTドコモはeDRXの効果で、消費電力を従来比で80%削減できるとしている。新開発のUIMカードを使うことで、消費電力をさらに50%削減できると見ている。eDRXは当初、東京都市部で利用可能とし、2017年度末に全国のLTEエリアで利用可能になる予定。利用するには、eDRX対応の通信モジュールが必要。

今回は既存のLTEにeDRXを組み合わせて利用可能としたが、eDRXは「Cat.1」「Cat.M1」「NB-IoT」といったLTEの技術を流用した省電力通信技術(セルラーLPWA)との組み合わせも可能だ。NTTドコモはセルラーLPWAのサービス開始時期については未定としているが、KDDIはすでに2017年度中にCat.M1の商用サービス開始を目指すことを明らかにしている(参考記事)。そして、NTTドコモはKDDIなど世界の大手通信事業者との間でCat.M1の早期展開を目指すことで合意している(参考記事)。NTTドコモがセルラーLPWAの商用サービスを始める時期はそう遠くはなさそうだ。


■リンク
NTTドコモ(新料金プラン)
NTTドコモ(eDRXと新開発のUIMカード)

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