デンソーと同社のアメリカ法人であるDENSO International Americaは2017年10月6日、2020年までにアメリカ・テネシー州にある生産拠点に10億ドル(1120億円:1ドル=112円で換算)を投資し、新たに1000名以上の従業員を現地で採用すると発表した。
対象となっている拠点は、テネシー州メアリービル市にある「DENSO Manufacturing Tennessee, Inc.(DMTN)」。デンソーグループにとって北米最大の生産拠点で、現在はオルタネーター(発電機)やスターター(エンジン始動用電動機)などの電装品、メーターやヘッドアップディスプレイなどの情報表示機器、エンジンを制御するECU(Electronic Control Unit)などの電子部品を生産し、トヨタ自動車、本田技研工業、スバル、General Motors、Fiat Chrysler Automobiles(FCA)、Ford Motor、韓国の現代自動車といった自動車メーカー各社に供給してきた。
図 DENSO Manufacturing Tennessee, Inc.(DMTN)の全景。赤い破線で囲んだ部分がDMTNの用地。敷地面積は194.87エーカー(約78万9000m2)
出所 DENSO Manufacturing Tennessee, Inc.
デンソーは今後、北米でも電動化や自動運転、高度運転支援など新しい技術に向けた製品の需要が拡大していくと見ている。そこで3年前から、電動化などの新技術に対応する体制について検討を続けている。その結果、DMTNが北米における新技術に対応する拠点として最適という結論を得て、今回の巨額投資につながった。DMTNの社長を務めるJack Helmboldt氏は「デンソーはこのテネシー州に生産拠点を設立してから、テネシー州を自動車部品生産の一大拠点に育て上げてきた。今回の巨額投資によって私たちは、自動車を次の世代に進化させる才能を持つ新たな人材に投資できる」と期待を込めたコメントを残している。
今回の投資で、部品の生産を担当する作業員やサポート要員、各分野の専門家や技術者など合計で1000名以上を新たに雇用する。さらに工場建屋の拡張、生産設備の新設、増強を予定している。