[標準化動向]

IP500 Alliance Japanが日本初のIP500対応無線モジュールを初公開

2015/11/05
(木)

2015年10月28日、高セキュリティなIoTメッシュ無線通信規格「IP500」の国際標準化を目指す「IP500 Alliance」の日本支部「IP500 Alliance Japan」が記者発表会を行い、日本初のIP500対応無線モジュール「CNX100J」を初めて公開した。同会見は、2015年10月28~30日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された「第1回 IoT/M2M展 秋」(注1)で行われたものである。

IP500の技術仕様

IP500 Allianceは、スマートハウスやスマートビルディングにおいて、高セキュリティなIoTメッシュ無線通信規格であるIP500注2を普及する目的で2006年に設立された。本部のベルリン(ドイツ)をはじめ、ニューデリー(インド)、サンノゼ(米国)に続き、2015年2月に、日本支部が東京に設立された。

アライアンスの主な設立メンバーはBosch Security Systems、Siemens Building Technologies Division、Tyco、WAGOなどで、2015年10月現在、日本からはオムロン(株)、スタビリティ(株)、豊田通商(株)、富士通(株)、ローム(株)がメンバーとして参加しており、メンバー企業の総数は38社(2015年10月現在)となっている。

IP500は、メッシュネットワークの構築においてインターオペラビリティ(相互接続性)を確保するため、IP層にはIEEE 802.15.4を、IPv6との接続には6LowPANを、ビル向けの通信プロトコルとしてBACnet、セキュリティについては、EU策定の防火防犯認定規則であるVdS(Vertrauen durch Sicherheit、ドイツ語で「セキュリティによる信用」という意味、http://vds.de/en/)に準拠している。また、電池で5~10年稼働できる省電力性能を備えている。IP500のプロトコルスタックを、図1に示す。

図1 IP500のプロトコルスタック

出所 IP500資料より

IP通信をベースとする、IP500の通信可能距離とデータ通信速度は、図2に示す通りで、通信可能距離は約500m、データ通信速度は最大500kbps(目標:1 Mbps)となっている。周波数は、日本では915~928MHzのサブGHz帯を使用する。

図2 IP500の通信可能距離とデータ通信速度

出所 IP500発表資料より


▼注1
「第1回 IoT/M2M展 秋」は、リード エグジビションジャパン主催の「Japan IT Week 秋 2015」の専門展示会として開催された。
 
▼注2
「IP500」という名称は、IPをベースとし、通信可能距離約500m、データの通信速度500kbpsを実現する規格であることに由来している。

 

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