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京大と大阪ガスが熱を太陽電池に向く波長の光に変換することに成功、発電効率40%超えも視野に

2016/12/26
(月)
SmartGridニューズレター編集部

京都大学と大阪ガスは、熱エネルギーを変換して、太陽電池の発電に向く波長の光に変換することに成功したと発表した。

京都大学と大阪ガスは2016年12月24日、熱エネルギーを変換して、太陽電池の発電に向く波長の光に変換することに成功したと発表した。世界初の快挙だという。この成果は大阪ガスと、京都大学大学院工学研究科電子工学専攻の浅野卓准教授、野田進教授との共同研究によるもの。野田進教授は、京都大学の電子理工学教育研究センター長も兼任している。大阪ガスと京都大学は2013年から共同研究を続けている。

今回の成功は、物質の「熱輻射」を制御することで達成した。物質を加熱すると内部の電子の熱運動が激しくなっていき、さまざまな波長の光を放出する。この現象を熱輻射と呼ぶ。太陽光も熱輻射によるものだ。そして、その太陽光は人間の眼に見える可視光線だけでなく、紫外線、赤外線など、さまざまな波長の光を含んでいる。

太陽電池は太陽光を受けて発電するものだが、太陽光のさまざまな成分のうちごく一部しか活用できない。具体的に言うと、太陽電池は可視光線と近赤外線の境界付近の光しか活用できない。このため、太陽電池の発電効率は20%前後にしかならない。

今回の研究では、熱を加えると太陽電池が活用できる波長の光を発する「熱輻射光源」を開発した。この光源はシリコンを材料としており、表面に微細な突起を無数に形成した「フォトニックナノ構造」となっている。この熱輻射光源からの光を受けることで、太陽電池は高い効率で発電できる。

図 熱エネルギーを太陽電池にとって都合が良い波長の光に変換する「熱輻射光源」を開発した

図 熱エネルギーを太陽電池にとって都合が良い波長の光に変換する「熱輻射光源」を開発した

出所 大阪ガス

太陽光を集光して、この熱輻射光源に当てて加熱すると、太陽光のエネルギーすべてが、太陽電池での利用に向く波長の光となる。その光を太陽電池で受けると、発電効率が40%以上に上がると期待できるという。そして「熱源」は太陽光だけではない。物質を燃焼させたときの熱も、この熱輻射光源を利用すれば、太陽電池に向く波長の光に変換できる。

図 今回開発した「熱輻射光源」の表面を捉えた顕微鏡写真

図 今回開発した「熱輻射光源」の表面を捉えた顕微鏡写真

出所 大阪ガス

大阪ガスと京都大学は、熱輻射を活用した発電技術を確立するために共同研究をさらに進める。今回はあくまで熱輻射光源が発する光の波長を計測して検証しただけで、実際に発電に利用したわけではない。今後は、実際に太陽電池も利用して発電し、その効果を確認する予定。また、太陽光のほかにどのような熱源が利用できるか検証するという。大阪ガスは2~3年後に、熱輻射光源を利用した何らかのシステムを試作することを目指している。そして、5年後には開発したシステムをサンプル出荷することを目標としている。


■リンク
大阪ガス
京都大学

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