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組み込み機器に画像認識機能を、ソシオネクストがOpenVXをハードウェア処理するグラフィックスコントローラーを開発

2017/03/03
(金)
SmartGridニューズレター編集部

ソシオネクスト、組み込み機器向けグラフィクスコントローラーの新製品「SC1810」を開発したと発表した。

ソシオネクストは2017年3月2日、組み込み機器向けグラフィクスコントローラーの新製品「SC1810」を開発したと発表した。車載機器のグラフィクス表示の制御に使うことを想定したものだ。サンプルとソフトウェア開発キット(SDK)は4月から提供開始の予定。

図 ソシオネクストが新たに開発したグラフィクスコントローラー「SC1810」

図 ソシオネクストが新たに開発したグラフィクスコントローラー「SC1810」

出所 ソシオネクスト

SC1810の最大の特徴は、画像認識などのプログラムに向けた標準API(Application Programming Interface)「OpenVX」をハードウェア処理する機構を組み込んだこと。ソシオネクストによると、SC1810は、OpenVXをハードウェア処理する世界初のプロセサになるという。

OpenVXは、3次元画像処理に向けた標準API「OpenGL」を策定した米Khronos Groupによる新API。Khronos GroupはOpenVXの用途として、顔認証、ジェスチャー認識、運転支援などのプログラムを挙げている。さらに、少ない電力でリアルタイム動作する組み込み機器で使用することを想定しているともしている。パソコンで使うような高性能なプロセサやGPUを使うことは想定していない。プロセサもGPUも、組み込み機器で利用できる程度の能力のものを想定している。

Khronos Groupによると、処理をマルチコアプロセサ、GPU、DSP(Digital Signal Processor)など、さまざまなプロセサに配分して並行処理をしたり、メモリ確保の方法を工夫して、1度確保したメモリをなるべく再利用するようにしたり、プロセサのキャッシュやメモリへのデータの配置の方法を工夫するなどの手段で、性能が低いハードウェアでも高速処理を可能にしている。

ソシオネクストはこれまで、グラフィクスコントローラーを活用して、自動車の全周囲をさまざまな視点から立体的な画像で確認可能にするシステムや、カメラ画像を分析して、車両に接近してくる自転車や歩行者などを検知するシステムを提供してきた。同社によると、今回開発したSC1810を利用することで、このようなシステムの性能をより高めることができ、便利な機能を追加できるようになったという。

SC1810の主な仕様は以下の通り、プロセサとしてARMのCortex-A9を4つ集積し、GPUとして英Imagination Technologiesの「PowerVR Series8XE」を集積する。この上に、今回独自開発したOpenVXのハードウェア処理機構「Vision Processing Unit」を搭載する。また、複数のカメラから映像を同時に処理できるH.264コーデックも備える。ディスプレイ出力は3系統あり、それぞれ1920×1080ピクセルの画像を出力できる。画像入力は6系統、いずれも1920×1080ピクセルの画像の入力に対応する。メモリはDDR3あるいはDDR3Lで1866MHz動作のものを使用できる。

ソシオネクストはSC1810を開発したことにより、車載向け画像処理に限らず、家庭や工場で使用する機器に画像認識などの機能を持たせることが可能になったとしている。今後はライブラリを拡充させながら、新たな分野に進出していく意向を示している。


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