[特別レポート]

スマートグリッド時代に対応した最新版ソフト「MaLion3」の見える化戦略=BEMS向けのキー・ソフトウェアとして進化へ=

2012/04/03
(火)
SmartGridニューズレター編集部

NTTデータソルフィスとNTTデータビジネスブレインズ、インターコムの3社は、グリーンIT/スマートグリッド時代を迎えて、共同セミナー「省エネ&環境負荷低減。効果の見える化はここから始まる。事例から学ぶ効果的利用法」を開催(2012年2月15日)。各社からITを駆使して実現した省エネやコスト削減の具体的事例が発表された。ここでは、「サステナブルな経営環境マネージメントを支援する『MaLion3』」と題して行われた、(株)インターコム 高橋 祐二氏(MaLion営業部課長)の講演内容を紹介する。クライアントPCの運用管理を支援するベストセラーソフトウェア『MaLion3』は、最新バージョンから、環境・エネルギーデータの「見える化機能」も実現している。このため、最新版のMaLion3は、スマートグリッド時代のBEMS(ビルエネルギー管理システム)のキー・ソフトウェアのひとつとしても注目されている。

今年30周年を迎える株式会社インターコム(代表取締役社長 高橋 啓介、図1)は、東京・秋葉原に本社を置き、通信ソフトウェアパッケージを主力にビジネス展開する先進企業である。最近では、その業容を拡大し、セキュリティからユーティリティ関連ソフトウェア、コスト削減関連ソフトウェアの企画・開発・販売のほか、インターネットによるECショップとクラウドサービスの運営までを行っている。

とくに、同社が開発したサステナブルな経営環境管理を支援する「MaLion 3」(マリオン・スリー)は、クライアントPCの運用管理を支援するソフトウェアであり、急速に普及しているツールである。

この「MaLion 3」は、具体的には、企業情報の漏洩対策からIT資産管理(ソフトウェア資産管理)機能などを備え、さらに最新版(12月29日販売)ではオフィス内の環境・エネルギーデータや運用ログまでを蓄積・管理可能とするなど、まさにスマートグリッド時代に対応したソフトウェアとして進化し、新しい展開を開始している。

ここでは、MaLion 3のアーキテクチャから各種機能、さらに消費電力の見える化までの内容について、NTTデータソルフィスとNTTデータビジネスブレインズとの実証実験の内容を紹介しながら見ていく。

スマートグリッド時代に対応した最新版ソフト「MaLion3」の見える化戦略=BEMS向けのキー・ソフトウェアとして進化へ=


図1 30周年を迎える株式会社インターコムのプロフィール(クリックで拡大)

図1 30周年を迎える株式会社インターコムのプロフィール


≪1≫スマートグリッド時代に対応させた「MaLion 3」のアーキテクチャ

〔1〕進化・発展するMaLion 3

まず、クライアントPCの運用管理を支援するソフトウェア「MaLion 3」のアーキテクチャを簡単に紹介しよう。

講演を行った(株)インターコム 高橋 祐二氏(MaLion営業部課長)は、『MaLionは2006年年に開発され、その後改良が続けられている、企業の情報漏えい対策とIT資産管理を1パッケージで提供するソフトウェアとなっています。最新バージョンの「MaLion 3」(12月29日販売)では、従来の機能に加え、オフィスにおける消費電力量を可視化することができるため、企業における節電対策の指針や節電効果測定を数値化する機能を搭載しています』とMaLion 3を紹介。これによって、オフィスにおける複合機やプリンターなど各種IT機器の消費電力量のデータを定期的に収集して、具体的な数値(Wh:ワット時)で「見える化」して表示できるなど、MaLion 3がスマートグリッド時代に対応し革新的機能を備えたソフトウェアに進化していることをアピールした。


〔2〕MaLion 3のアーキテクチャ:3つのレイヤとログデータベース

このMaLion 3のアーキテクチャは、図2に示すように、企業マネジメント基盤として、基本的に横軸方向に、(1)IT資産管理、(2)情報漏洩対策、(3)環境マネジメントという3つのレイヤが配置され、これらは一貫した監視・制御ポリシー(横方向の赤線)で管理されている。

また、図2に示すように、上記(1)、(2)、(3)の各レイヤからのログデータ(縦軸方向の青線)が、ログデータベースに蓄積される。

より具体的には、クライアントPC自身のもつレイヤ1の(1)IT資産管理情報としては、例えば、ハードウェア台帳として、PCやプリンターのメーカー名、機種名、CPUの名称などネットワーク上にある各種ハードウェアの情報を収集する。また、ハードウェアに割り当てられて固有の管理番号を入力し、この台帳上で一元管理することができる。

次に、レイヤ2でそれらの(2)情報漏洩対策を行う。さらに、次のレイヤ3として(3)環境マネジメントが設定されている。このレイヤ3は電力モニター機能を備えており、ここでは消費電力の数値もデータとしてMaLion 3に取り込むことよってデータを蓄積していく。

これらの蓄積されたログデータを分析し、その数値が「見える化」され、運用状況を視覚的に確認できるようになる。

この時、企業マネジメント基盤の運用に流れの中には、PDCA〔Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)、黄色の線〕という業務管理サイクルが組み込まれており、これによって、絶えず改善が行われ進化を遂げている。


図2 MaLion 3のアーキテクチャ(クリックで拡大)

図2 MaLion 3のアーキテクチャ


≪2≫オールインワン化されたMaLion 3の構成

図3は、MaLion 3の機能をより具体的にみた構成である。MaLion 3は、

(1)情報漏洩対策(赤色の部分):
  ファイル操作ログ、デバイス操作ログ、送受信メールログ等

(2)IT資産管理(青色の部分):
  ハードウェア資産情報/ソフトウェア資産情報/USBデバイス台帳等

(3)導入・運用支援(黄色の部分):
  自動レポート作成/リモートコントロール/ファイル配布等

など、3つの部分から構成されている。MaLion 3は、これらをオールインワン化したクライアントPCソフトウェアとして提供されている。


図3 MaLion 3の具体的な構成(クリックで拡大)

図3 MaLion 3の具体的な構成


≪3≫マニュアルレスで直感的に使いやすい操作画面

さらにMaLion 3は、これまで累計1000万以上にのぼるインターコム製品のユーザーが使用する中で培われた、使いやすい操作画面にもなっている。

図4に示すWidowsパソコン画面の左側には、自分の現在の作業の立ち位置が確認できるよう、絶えず管理ツリーが表示され、また画面の上部に操作メニューの一覧(管理コンソール)が表示され、必要なメニューをクリックし使用できる。さらに、図4の画面に表示されているように、表示されているクライアントPC(アイコン)をクリックすると、対象とするクライアントPCの状況を把握することができる。

このように、MaLion 3では、マニュアルレスで直感的に利用できる操作画面が採用されているため、システム部門でない社員でも容易に操作するできる環境となっているのも大きな特徴となっている。


図4 MaLion 3のWidowsパソコン上の操作画面(クリックで拡大)

図4 MaLion 3のWidowsパソコン上の操作画面


また、各端末(クライアントPC)の操作ログも漏れなく収集(運用ログ)しており、図5の右側に12個の運用ログのボタンが表示される。この運用ログと環境データ(消費電力の数値データ等)を結び付けて、より効果的な節電効果を上げることが可能となる。


図5 各端末(クライアントPC)の運用ログ画面(クリックで拡大)

図5 各端末(クライアントPC)の運用ログ画面


≪4≫3社による「オフィス環境マネージメントサービス」とMaLion 3

今回、図6に示すNTTデータソルフィスとNTTデータビジネスブレインズ、インターコムの3社が連携して行われた見える化・節電を目指す「オフィス環境マネージメントサービス」の実証実験では、表1に示す製品が使用された。

表1 3社が連携した実証実験に使用された製品群
NTTデータソルフィス インターコム NTTデータビジネスブレインズ
NTTデータとセイコーインスツルの合弁会社 NTTデータと日本板硝子の合弁会社
製品:
■『見える化 ECO部長』
(収集したオフィス情報の見える化を実現する商品)
■『Mr. 匠エネ』
(環境センサーで電力使用量や温度等のデータ収集:特定小電力無線、通信範囲50m)
製品:
■『Marion 3』
(クライアントPCの運用管理を支援するソフトウェア)
製品:
■『Pandora-AX』
(ペーパーレスオフィスを実現する電子帳票システム)

今回の実証実験で実施された「オフィス環境マネージメントサービス」では、3社がそれぞれ図6のように役割分担され、ソリューションの提供をはじめシステムインテグレーションや最適化設計、トータル分析などが行われた。


〔1〕『Mr.匠エネ』『見える化 ECO部長』と『MaLion 3』の連携

まず、図6の中央左に示すように、無線センサー『Mr.匠エネ』(セイコーインスツル開発)によって、「電力使用量」や「温度」「湿度」「照度」「CO2濃度」などのデータを無線(950MHz帯の特定小電力無線)で取得し、その収集したオフィスデータを『見える化 ECO部長』(NTTデータソルフィス開発)で見える化し、同時にこれとMaLion 3の「運用の見える化」と連携させる。


〔2〕『Pandora-AX』と『MaLion 3』の連携

同時に、図6の中央右に示すように、電子帳票システム『Pandora-AX』(NTTデータビジネスブレインズ)によって、ペーパーレス効果による「環境負荷低減の見える化」を実現し、同時にこれとMaLion 3の「運用の見える化」と連携させる。


〔3〕有機的な連携による制御と消費電力の削減

このようなデータの収集と見える化の有機的な連携を行い、トータルな分析を行って、図6の右端に示すように、上段の「収集・見える化」システムと下段の機器ハードウェア(環境センサー、業務PC/サーバ、プリンター/複合機等)の制御を行い、大幅な消費電力の削減を行うことが可能となった。これは、従来にない新しい環境データと消費エネルギーを結びつけて節電する手法であり今後の展開が期待されている。


図6 「オフィス環境マネージメントサービス」と3社の役割分担(クリックで拡大)

図6 「オフィス環境マネージメントサービス」と3社の役割分担


≪5≫3社が連携した具体的なシステムのイメージ

〔1〕運用の見える化を実現

これを具体的に実現しているのが図7に示すイメージ図である。図7に示すように、電力量モニターノードからのデータや照度/温度/湿度等のセンサーノードからのデータ、さらにCO2センサーノードからのデータ(環境センサーデータ)を『Mr.匠エネ』(無線)で収集し、その吸い上げたデータを『見える化 ECO部長』がまとめ、これをMaLion 3と連携させ、運用の見える化を実現している。

このような「運用の見える化」の状況は、MaLion 3の管理画面上(図8)で、PCをはじめとするオフィスIT機器と環境センサー等を「一元的」に管理したり、「部門」ごとに収集した環境センサーデータを「一活」で表示することも可能となっている。例えば、図8に示すMaLion 3の管理画面上のセンサーのアイコンをクリックすると、各部門ごとに収集したセンサーデータを一括で表示できるようになっている。


図7 3社の役割と環境センサーとの連携(クリックで拡大)

図7 3社の役割と環境センサーとの連携


図8 MaLion 3の管理画面の例(クリックで拡大)

図8 MaLion 3の管理画面の例


〔2〕収集したデータをアウトプットしたイメージ

次に、このようなシステムで、例えばA社の営業本部で収集したデータをアウトプットしたイメージを図9に示す。図9は、運用ログと環境データを融合させたレポートのイメージである。具体的には消費電力(赤線)と温度センサー(緑線)の環境データと電源ON中のパソコン台数(青の棒グラフ)を融合させたレポート出力の例となっている。

図9から、A社の営業本部における、パソコンの稼働台数(最大68台:朝9時)と消費電力(最大510W:朝9時)および室温(最大28℃:昼間13時)の変化を、見える化することができる。

これによって、例えば1日のうちで最大の電力消費時間をとらえることができる(数値化できる)ため、電力のピークカットも可能となる。


図9 収集したデータのアウトプットのイメージ(クリックで拡大)

図9 収集したデータのアウトプットのイメージ


以上、インターコム社の情報漏洩対策とIT資産管理をオールインワン化した、最新のクライアントPC運用管理ソフトウェア「MaLion 3」による、オフイス内環境データと運用ログを活用するソリューションを見てきた。今後、MaLion 3がより幅広い環境に適用できるようになれば、オフィスビルにおけるBEMS(Building Energy Management System、ビルエネルギー管理システム)を実現し、推進するキー・ソフトウェアのひとつとして大きく普及していくものと期待されている。

(終わり)


バックナンバー

<「見える化」共同セミナーレポート:前編>
NTTデータが目指す環境志向経営とオフィスビル/データセンターの見える化・省エネ戦略
=オフィスエリアで40%の電力を削減!=

<「見える化」共同セミナーレポート:後編>
スマートグリッド時代に対応した最新版ソフト「MaLion3」の見える化戦略
=BEMS向けのキー・ソフトウェアとして進化へ=

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