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東芝、再生可能エネルギーと水素を用いた自立型エネルギー供給システムの運転を開始

2015/04/20
(月)
SmartGridニューズレター編集部

2015年4月20日、川崎市と株式会社東芝(以下:東芝)は、川崎市臨海部の公共施設「川崎市港湾振興会館および東扇島中公園」(以下:川崎マリエン)で設置を進めてきた再生可能エネルギーと水素を用いた自立型エネルギー供給システム「H2One」(エイチツーワン)が完成し、実証運転を開始したことを発表した。

 

写真 「H2One」(エイチツーワン)の概観

「H2One」は、太陽光発電設備、蓄電池、水素を製造する水電気分解装置、水素貯蔵タンク、燃料電池などを組み合わせた自立型のエネルギー供給システムである。太陽光発電設備で発電した電気を用い、水を電気分解することで発生させた水素をタンクに貯蔵し、電気と温水を供給する燃料電池の燃料として活用する。

水と太陽光のみで稼働できるため、災害時にライフラインが寸断された場合においても、自立して電気と温水を供給できる。周辺地域の帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている川崎マリエンにおいては、貯蔵した水素を使い、300名に約1週間分の電気と温水を供給することができる。

さらに、コンテナ型パッケージとなっているため、トレーラーでシステム自体を被災地に輸送することも可能となっている。平常時には、水素の製造量、蓄電量、発電量などを最適に制御する水素エネルギーマネジメントシステム(水素EMS)により、電力のピークシフトおよびピークカットに貢献する。

 図 「H2One」のシステム構成図

実証運転においては、災害時を想定した水素BCPシステムおよび平常時の水素エネルギーマネジメントシステムの有効性の検証とシステム全体の高効率化を進める。そのうえで、さらなる水素備蓄機能の強化による、完全地産地消型のエネルギー供給システムとしての展開を今後予定している。

川崎市と東芝は、2013年に締結したスマートコミュニティの実現に向けた連携・協力に関する協定に基づき、エネルギー分野を始めとし、交通分野や生活分野など様々な取組を連携して進めている。川崎市は、水素エネルギーの積極的な導入と活用による「未来型環境・産業都市」の実現に向け、これからも関係企業など多様な主体と連携・協力しながらと取り組みを進める。

同実証の概要については下記のとおり。

実証の概要

設置場所 「川崎市港湾振興会館(川崎マリエン)」および「東扇島中公園」
期間 2015年4月20日~2021年3月31日
実証内容 ・平常時の施設への水素エネルギーマネジメントシステムの実証
・災害時を想定した水素BCP※1システムの実証
システムの主な仕様 水素製造量:最大1m3/h
水素消費量:最大2.5m3/h
水素貯蔵量:最大33m3(270Nm3、0.8MPa)
温水供給量:最大75L/h(40℃)
太陽光発電量:30kW
電力貯蔵量:350kWh
燃料電池効率:95%(発電55%、温水40%)

 


※1:Business Continuity Plan

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東芝

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