[特別レポート]

【CEATEC2016 レポート】超スマート社会(Society 5.0)実現への道

― AIやビッグデータ解析、IoTが浸透した次世代社会 ―
2016/10/21
(金)

去る2016年10月4日から4日間、千葉県・幕張メッセにおいて、CPS/IoT Exhibition 「CEATEC JAPAN 2016」が開催された。10月6日、AI(人工知能)やビッグデータ解析、IoTが浸透した2030年を目指して実現される超スマート社会(Society 5.0)について、‘ 「超スマート社会」を創ろう!~超スマート社会コンセプト”Software Defined Society”の実装に向けて~’というテーマで、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA注1)ソフトウェア事業委員会 スマート社会ソフトウェア専門委員会 委員長 千村保文(ちむら やすぶみ)氏(沖電気工業 上席主幹)によって講演が行われた。
ここでは、同講演についてレポートする。

超スマート社会(Society 5.0)の実現に向かって

〔1〕このままでは日本は沈没する

千村氏は講演の冒頭で、「このままの状態で世界経済が成長していくと、地球温暖化のワーストケースでは‘2100年までに世界平均気温が約4℃上昇する’と予測されており、このケースでは、日本はほぼ水没してしまう!」と、昨年(2015年)12月に採択された「パリ協定」注2の重要性を唱えた。

地球温暖化への取り組みが喫緊の課題であるという背景もあり、現在、地球環境に配慮した国際的な「スマート化」の波が急速に活発化している。

情報通信技術(ICT)が急速に発展し、ネットワーク化やIoTの利活用が進むなか、世界では、ドイツの「プラットフォームIndustrie 4.0」、米国の先進製造パートナーシップ(IIC:Industrial Internet Consortium)、中国の中国製造2025(Made in China 2015)、日本のIVI(Industrial Value Chain Initiative)など、ものづくり分野でICTを最大限に活用し、第4次産業革命ともいうべき取り組みが、展開され始めているのだ。

具体的には、図1に示すように、AI(人工知能)などの技術革新やデータ利活用によって、これまでは対応しきれなかった「社会的・構造的課題=顧客の真のニーズ」に対応することが可能な時代を迎えようとしている。

図1 第4次産業革命によって実現される社会ニーズ

図1 第4次産業革命によって実現される社会ニーズ

出所 経済産業省「新産業構造ビジョン」~第4次産業革命をリードする日本の戦略~
産業構造審議会 中間整理、平成28(2016)年4月27日、http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/008_05_01.pdf

〔2〕「科学技術基本計画」(第5期)がSociety 5.0を打ち出す

日本では、2016年1月に「科学技術基本計画」(第5期)が閣議決定され、2030年を目標に、超スマート社会(Society 5.0)を実現するというコンセプトが打ち出された注3

ここで超スマート社会(Beyond Smart Society)とは、ICTを最大限に活用し、サイバー空間(インターネットの世界)とフィジカル空間(現実の世界)とを融合させた取り組み(すなわちCPS:Cyber Physical System)によって、人々に豊かさをもたらす社会(「Society 5.0」とも呼ばれる)の実現を目指すことである(図2)。

図2 超スマート社会:Society 5.0の位置づけ

図2 超スマート社会:Society 5.0の位置づけ

出所 日本経済団体連合会「新たな経済社会の実現に向けて~「Society 5.0」の深化による経済社会の革新~」、2016年4月19日、https://www.keidanren.or.jp/policy/2016/029_gaiyo.pdf

〔3〕‘超スマート社会’のイメージ

第5期科学技術基本計画によると、‘超スマート社会’とは、2030年を目標年度として軸足を置き、

  • 必要なもの・サービスを、
  • 必要な人に、
  • 必要な時に、
  • 必要なだけ提供し、
  • 社会のさまざまなニーズにきめ細やかに対応でき、
  • あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、
  • 年齢、性別、地域、言語といったさまざまな制約を乗り越え、
  • 活き活きと快適に暮らすことのできる

社会のことを指し、それを実現するための手段としてIT・ソフトウェアが位置づけられている。


(注1)JEITA:ジェイタ。 Japan Electronics and Information Technology Industries Association、一般社団法人 電子情報技術産業協会。2000年11月に社団法人日本電子機械工業会(EIAJ)と社団法人日本電子工業振興協会(JEITDA)が統合して発足。日本の「IT・エレクトロニクス産業の発展」を通じて、日本経済の発展と文化の興隆に寄与することを目的に設立された団体。
http://www.jeita.or.jp/japanese/about/what/

(注2)2015年11月30日~12月12日、フランス・パリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)は、京都議定書以来の、米中および発展途上国を含む196の国と地域が全会一致で温室効果ガスの削減に取り組む、新たな国際的な枠組みである「パリ協定」を採択した。具体的には、産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える(1.5℃にも言及)など。

(注3)「科学技術基本計画」(第5期):平成28(2016)年1月22日に閣議決定された。
Society 5.0:狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続くような、新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していく、という意味を込めている。「科学技術基本計画」の11ページ。
http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf

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