KDDI、NTTドコモなど世界の9通信事業者は2017年2月27日(スペイン時間)、LTEを基にしたIoT端末向け通信規格「Cat-M1(カテゴリM1)」を世界中で早期に展開していくことで合意した。スペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congressで発表した。今回の合意には日本の2社のほか、米AT&T、オランダKPN、フランスOrange、スペインTelefonica、オーストラリアTelstra、カナダTELUS、米Verizon Wirelessと、それぞれの国を代表する通信事業者が賛同した。
図 今回の合意に参加した9社
出所 各社Webサイト
Cat-M1は3GやLTE(Long Term Evolution)の各種規格を策定している3GPP(Third Generation Partnership Project)が2016年6月に策定した「Release 13」で規格化した技術だ。低速だが低消費電力で長距離通信が可能な技術群「LPWA(Low Power Wide Area)」の中でも、携帯電話のLTEを基にしたもの。通信免許が必要だが、既存の基地局を流用できるので、全国規模の通信が可能という利点がある。今回の合意に参加した9社は、発表文でCat-M1を、「展開を容易にする機能を有しており、既存の4G LTEネットワークエリアで本技術が利用可能になる」としている。
Cat-M1は、通信速度を上り下りともに最大1Mbpsまで抑え、使用する周波数帯域幅を通常のLTEで使用する20MHz幅から、1.4MHz幅に狭めることで、消費電力と通信モジュールのコスト削減を狙ったものだ。また発表では、省電力モードや、間隔を空けて(間欠的に)信号を飛ばす「eDRX1(Extended Discontinuous Reception)」などの技術を併用することで、IoT端末の電池による駆動時間を最長で10年まで延ばせるとしている。
合意に参加した9社は今後、Cat-M1自体だけでなく、その発展技術のエコシステム構築を加速させることを目標としている。そのために、試作サービスや試験環境の提供、Cat-M1とその発展技術の検証用キットの開発など様々な活動で協力していくとしている。さらに、追跡機器やウェアラブル端末など、Cat-M1を活用したサービスを世界中で利用できることを目指して、Cat-M1とその発展技術について標準化が済んだものに早期に対応していく。また、国際ローミングサービスの提供でも協力していく。