ぷらっとホームは2017年3月15日、同社が開発販売している小型Linuxサーバー「OpenBlocks IoT」シリーズの4機種向けに最新のファームウェアの配布を始めた。対象機種は「BX0」「BX1」「BX3」「EX1」。
新版のファームウェアで加わった機能は主に2つ。1つ目は大量の「OpenBlocks IoT」シリーズを一括管理するクラウドサービス「AirManage for IoT」に対応したという点。すでに一部機種に向けて対応ファームウェアを配布し、無償のベータ版としてサービスを提供しているが、今回の新ファームウェアで対応機種が広がった。
AirManage for IoTを利用すれば、個々のゲートウェイの状態を見たり、設定を変更するために、それぞれの機器にアクセスする必要がなくなる。統合管理しているAirManage for IoTのサーバーにアクセスして、自身の管理下にあるゲートウェイを選択することで、個々のゲートウェイの稼動状態を確認できるようになる(関連記事)。
図 管理者はAirManage for IoTのサーバーにWebブラウザでアクセスすることで、複数のOpenBlocks IoTシリーズを管理、制御できる
出所 ぷらっとホーム
2つ目は、GUIでデータ処理の流れを設定可能とする開発環境「Node-RED」が加わったこと。Node-REDは、サーバーサイドJavaScript実行環境である「Node.js」で動作するWebアプリケーション。今回のファームウェアに更新したOpenBlocks IoTシリーズにWebブラウザでアクセスすることで利用できる。
図 Node-REDの画面。横長の矩形をしたパーツを引き出して、線で結んでいくことで、データ処理の流れを設定できる
出所 ぷらっとホーム
上図のように、機能を表す横長の矩形が用意してあり、それを右側から引き出して、矩形同士を線で結び、簡単な設定をするだけでデータ処理の流れを設定できる。上図では、センサーが送ってきた温度データをグラフ表示する流れを設定している。UNIXソケットに入ってきたJSON形式のデータをJavaScriptが扱えるオブジェクトに変換し、簡単なJavaScriptのコードでデータを整形して、OpenBlocksのダッシュボード画面にグラフとして表示させるという流れになる。JavaScriptのコードはごく簡単なもので、受信したデータの中に温度データが存在しない(nul)なら廃棄して、そうでなければセンサーが送ってきたデータの日時情報をRFC3339形式から、UNIX形式に変換して返すというものだ。設定が済んで、OpenBlocksに反映させると、下図のようなグラフが現れる。
図 Node-REDで温度データを処理する設定を反映させると、温度の推移を示すグラフを表示させることができる
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今回の新ファームウェアで加わったNode-REDでは、以上のような簡単な機能だけでなく、Amazon Web Services、Google Cloud、IBM Watson、Microsoft Azureといった世界的に多くの利用者を抱えているクラウドサービスの機能も矩形のパーツになっており、簡単に利用できる。電子メールやTwitterでメッセージを送受信する機能も備える。本格的なデータ処理システムを作るなら、細かいところまで決めてプログラムを作る必要があるが、IoTシステムのプロトタイプ(試作)を作るなら、Node-REDが提供する機能で相当なことができる。IoTはまだ本格的に普及しているものではなく、多くの企業、団体が試作環境を作って、ビジネスとしての可能性などを検討している段階だ。このような段階では、今回OpenBlocks IoTシリーズに加わったNode-REDの機能が役立つだろう。
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