[クローズアップ]

Industrie 4.0、IICに次ぐ日本の次世代「ものづくり団体」IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)が設立!

― IoTによる新しい製造業の共通基盤を構築へ ―
2015/07/01
(水)
SmartGridニューズレター編集部

2015年6月18日、東京・機会振興会館において、IoT(モノのインターネット)を活用した製造業の新たな連携を実現することを目的として、IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)注1の設立総会(写真1)が、150名を超える参加者(正会員・サポート会員中心)のもとに、開催された。このように、日本でも、ドイツのIndustrie 4.0や米国のIIC(Industrial Internet Consortium)に続いて、次世代の「モノづくり団体:IVI(Industrial Value Chain Initiative)」が設立され、大きな期待と注目を集めている。ここでは、同設立総会をもとにレポートする。

写真1 IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ)設立総会の様子

写真1 IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ)設立総会の様子

IVIの組織構成とプロフィール

写真2 IVI理事長 西岡靖之教授(法政大学)

写真2 IVI理事長
西岡靖之教授(法政大学)

IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)は、日本機械学会生産システム部門「つながる工場」研究分科会の活動を母体とし、発起人代表である法政大学の西岡靖之教授(IVI理事長に就任。写真2)らが中心となって設立注2されたもので、ドイツのIndustrie 4.0や米国のIICに次ぐ日本の次世代工場(フューチャーファクトリー)を現場目線からの構築をめざす団体である(図1、表1)。

図1 IVI(Industrial Value Chain Initiative)の組織構成

図1 IVI(Industrial Value Chain Initiative)の組織構成

〔出所 「IVI設立記念大会(設立総会)」(2015年6月8日)などの資料をもとに作成〕

表1 IVIのプロフィール

表1 IVIのプロフィール

〔出所 「IVI設立記念大会(設立総会)」(2015年6月8日)などの資料をもとに作成〕

新たなビジネスサイクルの時代と競争領域の変化

写真3 経済産業省 ものづくり政策審議室 室長 西垣淳子氏

写真3 経済産業省
ものづくり政策審議室 室長
西垣淳子氏

 IVI設立総会の基調講演において、経済産業省製造産業局ものづくり政策審議室 室長の西垣淳子氏(写真3)は、「わが国の製造業に突き付けられたIoT時代の新たな課題=ものづくり白書が示すメッセージ=」と題して講演を行った。

 日本の製造業のGDP(国内総生産。図2の×印を結んだ曲線。目盛は図2の右側)は、1997年(約114兆円)をピークに減少が続き、ここ数年は20%も減少した約90兆円となっている。業種別GDPの推移(各色の曲線。目盛は図2の左側)を見ると、特に「電気機械」の減少率(20兆円⇒10兆円)が著しいことがわかる。この電気機械の低迷には、ものづくりを取り巻く国際的な環境が大きく変化したことに対して、日本の対応ができなかったという背景もある。

図2 日本全体のGDP(図の右の目盛):製造業を取り巻く環境の変化

図2 日本全体のGDP(図の右の目盛):製造業を取り巻く環境の変化

〔出所 経済産業省「我が国の製造業に突き付けられたIoT時代の新たな課題-ものづくり白書2015が示すメッセージ-」、2015年6月〕

 今後は、さらなるIoTやAI(人工知能)の進化・発展によって、産業構造が大きく変化していくなど、急激なビジネス環境の変化への対応が必要である。例えば、図3に示すように、ドイツで推進されているIndustrie 4.0では新たなビジネスサイクル、すなわち、

(1)各機器からのデータの収集(real→digital。センサー性能の進化)

(2)情報の蓄積・データの解析〔digital →intelligence。メモリ、処理アルゴリズム(統計的機械学習)の進化(情報の活用)。サイバー空間)〕

(3)処理(制御)〔intelligence →real、プロセッサ等の性能の進化。現場へフィードバック〕

が実現され始めている。

図3 IoT技術(CPS)による新たなビジネスサイクルの出現

図3 IoT技術(CPS)による新たなビジネスサイクルの出現

〔出所 経済産業省「我が国の製造業に突き付けられたIoT時代の新たな課題-ものづくり白書2015が示すメッセージ-」、2015年6月〕

 このように、実世界(real)とサイバー空間との相互連関を実現するCPS(Cyber Physical System)によって、「情報収集」「情報の蓄積・データ解析」「処理(制御)」という新たなビジネスサイクルが出現しているため、図3に示すように、あらゆる分野(情報通信、製造、ヘルスケア、エネルギー、モビリティ等々)で競争領域が変化してきている。

 このように、IoTの活用によって、製造業の競争ルールも大きく変化している。これらに対応して、政府はIoT時代のロボットによって世界をリードするため、ロボット革命の実現を提言〔「ロボット新戦略」注3〕。この方針のもとに、2015年5月に「ロボット革命イニシアティブ協議会」(Robot Revolution Initiative:略称「RRI」)が設立注4された。今後の製造業のあり方・政府の取組みのあり方について、ロボット革命イニシアティブ協議会において共有し、連携していくことを、アピールした。


▼ 注1
IVIにはすでに、IHI、NEC、オムロン、川崎重工業、神戸製鋼所、今野製作所、デンソー、東芝、豊田中央研究所、日産自動車、パナソニック、日立製作所、富士通、マツダ、三菱電機、安川電機など日本を代表する、製造・電気関係の50社以上の大企業・中小企業が賛同しメンバーとなっている。http://www.iv-i.org/memberlist.html

▼ 注2
“ゆるやかな標準”によるIoT時代の新たなネットワークづくりを目指す「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ」が発足。http://www.iv-i.org/news/press_150615.pdf

▼ 注3
ロボット新戦略(Japan’s Robot Strategy)http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150123004/20150123004b.pdf

▼ 注4
「ロボット革命イニシアティブ協議会」の設立についてhttp://www.jmf.or.jp/content/files/rob_kyougikai/robpress.pdf、「ロボット革命イニシアティブ協議会規約」http://www.jmf.or.jp/content/files/rob_kyougikai/robkiyaku.pdf

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