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100km/hで移動中も通信できて最長274kmの遠隔通信にも成功! ソニーが独自のLPWA技術を発表

2017/04/28
(金)
SmartGridニューズレター編集部

ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズは、独自の無線通信技術を開発したと発表した。

ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズは2017年4月27日、独自の無線通信技術を開発したと発表した。ソニーはこの技術が現時点で1日1回の位置データ送信ならコイン電池1個で10年間動作可能で、最長で見通し274kmの遠隔通信も可能なものとしている。さらに100km/hの速度で移動しているときにも安定した通信が可能だという。使用する周波数帯はLoRaWANやSIGFOXと同じく、通信に免許が要らない920MHz帯。ソニー独自のLPWA(Low Power, Wide Area)無線通信技術だ。

図 ソニーが開発した独自のLPWA技術は自動車移動中も使え、海上や山中など遠く離れたところとも通信できる方式だ

図 ソニーが開発した独自のLPWA技術は自動車移動中も使え、海上や山中など遠く離れたところとも通信できる方式だ

出所 ソニーセミコンダクタソリューションズ

ソニーが今回発表した無線通信の基本的な仕様は以下の通り。空中線電力は20mW。現状では一方向通信のみ対応し、双方向通信は検討中としている。送信周波数は920.6MHz~928.0MHzで、38チャンネルのうち1チャンネルで送信する。変調方式はπ/2シフトBPSK(Binary Phase Shift Keying)。ウィルコムのPHSが採用した方式だ。この方式に加えてオプションとしてLoRaも採用している線形チャープ変調も利用できるとしている。誤り訂正符号にはLDPC(Low Density Parity Check)を使用し、実転送速度は標準で80bps、受信感度は標準で-148dBm。セキュリティにも配慮して「国際標準暗号」に対応するとしている。

以上の仕様を基に、ソニーは光ディスクで使用している誤り訂正符号などのデジタル信号処理技術、テレビチューナーなどが搭載する高周波アナログ回路技術、低消費電力の半導体回路技術など、ソニーがコンシューマー向け電気製品で培ってきた技術を応用しているという。

また、通信環境に応じて感度を変化させる方式も採用している。新開発の誤り訂正符号と伝送路を推定するためのパイロット信号を埋め込んだパケットを0.4秒間隔で複数回送信する。受信側は受信したパケットを合成し、信号処理を加えることで感度を高めるという。この方式により、電波同士の干渉(マルチパス)を軽減できるという。加えて、複数の異なる通信チャンネルの混信に強いチューナーチップを採用することで、遠距離の通信や高速移動中の通信が可能になるとしている。混信が発生しやすい都市部でも良好な通信状態を保てる。

さらに、ソニーが提供予定の送信モジュールと受信機はGPS(Global Positioning System)チップを標準で搭載する。これも利用して通信を安定させる。GPS衛星から得られる高精度な時刻情報を得て、送信、受信の周波数とタイミングを補正するという。もちろん、送信地点の位置情報を送ることも可能だ。そして送信モジュールには、ソニーセミコンダクタソリューションズの技術を投入して新開発した低消費電力の送信チップを搭載するとしている。

ソニーは位置情報を送れるという特性を活かした用途を考えている。例えば、登山者や船舶に送信機を持たせて、受信基地局でデータを得ることで位置情報をリアルタイムで把握するといった用途を挙げている。さらに、レンタカーの車両管理やドローンの位置情報を把握するなどの用途も想定しているという。

ソニーは現在、この技術を応用した製品の実用化、サービスの実用化を目指して日本各地で通信試験を実施している。そして、実証実験に向けた協力事業者を広く募集する意向も明らかにしている。


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ソニー
ソニーセミコンダクタソリューションズ

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