≪1≫新たに7件が勧告化
第4回IPTV-GSIは、2008年9月1〜5日にジュネーブにて開催された。これに関連して複数のWP/SG会合が開催され、前回に引き続いてIPTV関連の勧告化が進められ、9月で合計7本が勧告手続きに入った。
ここでは、第4回IPTV-GSIと、WP2/16の合同ラポータ会合、WP2/16のプレナリ会合についてレポートする。
表1に、ITU-Tで進んでいるIPTV関連の勧告案の進捗状況をまとめた。
≪2≫WP2/16の合同ラポータ会合
WP2/16(SG16のWP2)の合同ラポータ会合は、2008年8月25〜29日に開催された。IPTVを集中的に議論するIPTV-GSIと異なり、NW-ID(Netwok ID、ネットワークID)、USN(Ubiquitous Sensor Network、ユビキタス・センサー・ネットワーク)などマルチメディア関係の幅広いテーマを扱う会合である。ホーム・ネットワークについても継続的に検討されており、今回NTTは、ホーム・ネットワークのQoSの現状を分析した寄書を提出した。
ホーム・ネットワークは、さまざまな標準化団体で標準化が進んでおり、その多くはQoSに関する記述を含んでいる。
このことは、QoS技術のホーム・ネットワークにおける重要性を物語るものであるが、一方でこれらの規格の整合がなければ十分に機能しない。各標準化団体が十分に連携していれば問題ないが、現実には個別の調整はあっても各団体の技術的内容を十分に整合させる仕組みもないし、実際の整合も不十分なままである。今回の提案の意図は、各団体の成果を尊重しつつ、整合させることを意図したものである。
各標準化団体のQoSのサービス優先度を表2にまとめた。
表2から分かるように、ベストエフォートはともかく、それ以外の部分では多くの齟齬(そご)か見られることが分かる。今回の会合では、この表2を出発点に、今後どのような作業を進めるべきかを議論した。現在、さまざまな解決策が考えられているが、今後時間をかけて検討されるだろう。
≪3≫第4回IPTV-GSI
前述したように、第4回IPTV-GSIは、2008年9月1〜5日に開催された。
参加者は143名、寄書は77件と、前回会合に比べて増加し、IPTV FG並の規模となった。今回は、日本27名、中国23名、韓国24名などアジアからの参加者が多いことに加え、アフリカなど途上国からの参加も多い点が特徴的であった。
ここでは、第4回IPTV-GSIで話し合われた案件のうち、ホーム・ネットワーク、IPTVアーキテクチャ、要求条件について説明する。
〔1〕ホーム・ネットワーク
ホーム・ネットワークついては、軽微な技術的な修正を反映し、WP2/16プレナリ会合においてコンセント合意されることになった。
〔2〕IPTVアーキテクチャ(Y.1910)
IPTVアーキテクチャ(Y.1910)については、国内の審議で、エンド・システムにデコーダに相当する機能がないとの指摘があり、この問題について寄書を提出した。その結果、Y.1910と端末関係の勧告との整合が図られた。
〔3〕要求条件(Y.iptv-req)
要求条件(Y.iptv-req)については、国内より端末にデータの蓄積機能をもたせるcPVR(Customer Personal Video Recoder)と、ネットワーク側にデータの蓄積機能をもたせるnPVR(Networked PVR)の区別が曖昧なうえ、cPVRと同じ程度に容易にnPVRを運用できるような印象を与えるという指摘があった。また、用語の定義として、nPVRは著作権上の私的利用の概念と混同する恐れがあるとの意見もあった。
これらの意見に基づき会合で対処を行い、勧告文案に修正を施すことで合意された。
≪4≫WP2/16のプレナリ会合
WP2/16(SG16のWP2)のプレナリ会合では、次の勧告案のコンセント合意が提案され、承認された。
・H.720(H.iptv-tdes.0)IPTV端末概要
・H.750(H.iptv-md)IPTV用メタデータのハイレベル仕様
・H.622.1(H.iptv.hn)IPTV用ホーム・ネットワーク
さらに、今後のメンテナンスや検索のしやすさなどを考慮し、勧告の番号体系をシリーズごとにまとめることが議論され、合意された。
≪5≫今後の予定
今後のIPTV関連の会合は次のように予定されている。