≪1≫IPTVの定義と同業他社の比較
■ 映像系のサービス(IPTVサービス)としては、御社のようなサービスから、アクトビラのようなもの、You Tubeのようなものまで、幅広くあり、人によって捉え方がばらばらですが、IPTVというとどのようなサービスを指すとお考えでしょうか。
板東浩二氏
(NTTぷらら
代表取締役社長)
板東 確かにIPTVは人によって捉え方が違いますね。当社が考えているIPTVサービスは、何らかの管理がなされたIPネットワークを使うということです。NGNや従来のフレッツ網などのクローズドなネットワークで、ある程度映像の品質を確保しながら送るのが当社の考えるIPTVサービスです。
これに対して、アクトビラの場合は、汎用のインターネットを使っているため、IP放送は提供されていません。IP放送を提供するためには、マルチキャスト機能が必要なのですが、汎用のインターネットを経由する場合にはマルチキャストが利用できないためです。
それから、アクトビラでは、コンテンツに暗号をかけることによって、セキュリティを確保し、汎用のインターネットでコンテンツを配信していますが、「ひかりTV」はネットワーク自体がクローズドであるため、オープンなインターネットよりもセキュリティが高くなっています。
■ 映像サービスを提供している事業者は「ひかりTV」のほかにもあります。他社と御社のサービスはどのように違うのでしょうか。
板東 図1に、「ひかりTV」と他事業者との比較を示しています。
一番左が当社の「ひかりTV」です。続いて、CATV(A社)、CS(B社)、一番右がTVポータル(C社)です。
当社の「ひかりTV」の特徴を一言でいえば、やはり光回線のインフラをベースとした高速大容量のネットワーク、それも汎用のインターネットではなく、セキュリティや品質をある程度確保できるクローズドなネットワークを使用しているということです。
■ 図1についてもう少し詳しく説明していただけますか。
板東 図1からわかるように、例えばTVポータル(C社)では、多チャンネル放送がなく、VoDのみです。当然、地上デジタル放送のIP再送信はできません。また、ネットワークは、汎用のインターネット網を使っています。このため、暗号によってコンテンツを保護するにしてもクローズドなネットワークよりセキュリティは弱い面がありますので、コンテンツを確保することがやや難しかったり、場合によっては、高い料金を請求されることもあるかもしれません。実際、現在のコンテンツは2,000本程度ということで、数がやはり少ない印象です。
当社がこれまでさまざまなコンテンツ・プロバイダと交渉してきた経験では、コンテンツ・プロバイダがコンテンツを提供する際の1つの大きな条件が、汎用のインターネットではなくて、セキュリティの面でクローズドなネットワークを利用するということです。
このため、コンテンツを調達する場合には、セキュリティの面でクローズドなネットワークを使った映像配信のほうが調達しやすいと考えています。
CS(B社)は、多チャンネル放送の数は300チャンネルと、「ひかりTV」よりも多くなっています。ただ、ユーザーが300チャンネルの番組をすべて視聴するかというと、実際には主に視聴されているチャンネルは、せいぜい30~40チャンネルぐらいではないかと思います。そうした意味で、当社の「ひかりTV」の放送サービスは、主要チャンネルをそろえていますので、これで十分だと考えています。「ひかりTV」とCSとの最大の違いとして、CSは放送中心であり、双方向ではなく、片方向なので、VoDサービスはできないという点があります。