カーボンニュートラル/脱炭素
[ニュース]

Google日本データセンター、2030年までにカーボンニュートラル化を目指す

合計60MWの太陽光電力をPPAによって調達
2024/06/14
(金)

2040年までのカーボンニュートラル化を政府が目標設定

 データセンター運営の再生可能エネルギー(以下、再エネ)化が急がれている。DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI導入を背景にデータセンターの活用が急速に進み、電力使用量は増大の一途だ。一方で利用する企業側にとっては、スコープ3注1排出量の観点から使用電力の再エネ比率に対する関心が高まっている。また政府は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」注2において、成長が期待される14分野(図1)のうち「⑥半導体・情報通信産業」分野においては、特に10年前倒しして「2050年ではなく」、2040年のデータセンターのカーボンニュートラル化(脱炭素化)を盛り込んでいる。
 このような中で、表1に示すように、各データセンター企業で再エネ導入などによる環境負荷軽減を目指す取り組みが活発化している。

図1 成長が期待される14分野

出所 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」、令和3(2021)年6月18日

表1 データセンター(DC)顧客のニーズに対するDC事業者の反応

出所 環境省、「データセンターによる再エネ利活用の促進に関するアニュアルレポート 2024年3月」より抜粋

Google は60MWをPPAにより調達、今後4年以内に実施

 表1に記載された1社であるGoogle とその日本法人は、合計60MWの太陽光電力をPPA注3により調達すると2024年5月24日に発表した注4
 PPAの契約先は2件で、1件は伊藤忠商事関連のクリーンエナジーコネクト。同社は、低圧分散型太陽光発電所を国内に約800カ所展開しており、各所で分散発電した電力40MWの電力を調達する。
 もう1件は、日本の再エネ企業大手である自然電力。同社は、Google が千葉県にもつデータセンターと同じ電力網内に20MWの大規模太陽光発電所を所有しており、そこから電力直送を受ける。これらの電力は、発電方法やエネルギー源などの環境属性などを記したエネルギー属性証書(EAC注5)とともに調達する。またこれらPPAは、4年以内に稼働予定としている。

グローバルでは再エネ化が遅れていたGoogle日本データセンター

 Google は、グローバルで運営しているすべてのデータセンターへの送電網を、2030年までに24時間365日、カーボンフリーエネルギーで稼働させるという目標を掲げている。さらに、日本社会のデジタル化を支援する取り組みとして総額1,000億円の投資を表明しており、今回発表したPPAはそれらコミットメントの一環である。
 Google は2022年時点で、世界各地のデータセンターで使用している電力の64%を再エネ化している(1時間ごとの集計)。その状況を示した資料(図2)によれば、再エネ化は主に北米や欧州各地で進行している。一方、日本は16%に留まる。
 同社の「日本データセンター」は、2023年4月に千葉県印西市に開設されたものだが(図3)、各設備を平均より高い温度で稼働することによって、冷却用のエネルギー消費を節約するほか、寒冷期には外気温の利用による冷却システムを採用するといった最新の施設設計がされている。これらに加えて、今回の再エネ導入によって、2030年までの目標達成を目指す。

図2 グローバルデータセンターのカーボンフリーエネルギーマップ(Google が所有および運営するデータセンターのみ)
出所 Google、「Operating on 24/7 Carbon-Free Energy by 2030.」を日本語化等一部加筆修正して作成
※24/7:twenty-four seven、毎日24時間・週7日ずっとという意味で、24時間年中無休のこと。「24 hours a day, 7 days a week」を短縮した表現。

図3 Google日本データセンター(千葉県印西市)の概観

出所 Google Japan Blog、2023年4月13日「千葉県印西市にデータセンターを開設」


注1:スコープ3:事業者によるGHG(温室効果ガス)排出量の算定・報告対象範囲の国際的な区分のうち、原材料仕入れや販売後などに関わる排出分。具体的には、事業者自らが排出している二酸化炭素等のGHGであるスコープ1、スコープ2以外の、事業者の活動に関連する他社のGHGの排出量のこと。
注2「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました」、2021年6月18日
注3:PPA:Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル。需要家と発電事業者の間で長期間の電力買取契約を結ぶこと。
注4Google Cloud ブログ「日本におけるクリーン エネルギーの進展」、2024年5月24日
注5:EAC:Energy Attribute Certificate

参考サイト

Google Cloud ブログ 2024年5月24日、「日本におけるクリーン エネルギーの進展」

Google Japan Blog  2023年4月13日「千葉県印西市にデータセンターを開設」

環境省、「データセンターによる再エネ利活用の促進に関するアニュアルレポート 2024年3月」

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