ZMPは2017年2月15日、自動運転車のベースとなる機体の新型「RoboCar MV2 2017」を発売した。前世代機に当たる「RoboCar MV2」を基に、コンピュータなどを格納できる「デリバリーボックス」を座席後方に付け、自動運転モードか手動運転モードかがひと目で分かるインジケーターを新設した。また、ステアリングホイールの左側に13インチのタブレットを設置した。このタブレットでは、自動運転時に車速やステアリング角度など車両の状態を示すデータを表示する。タブレットから自動運転機能の設定を変えるなどの操作も可能だ。
図 「RoboCar MV2 2017」の外観
出所 ZMP
基となった車両はRoboCar MV2と変わらず、トヨタ車体の一人乗り電気自動車「コムス」。デリバリーボックスとインジケーターとタブレットを付けたほか、自動運転関連の部品を一部見直して入れ替えたとしている。
ほかの部分は全世代に当たるRoboCar MV2と変わらない。コムスを基に、自動運転に必要なハードウェアを取り付けた。ステアリング、アクセル、ブレーキを操作するハードウェアを取り付け、コンピュータから制御可能な形にして提供する。車両制御用コンピュータとなる、ノートパソコンも付属する。OSはUbuntu 16で、RoboCar MV2 2017の制御プログラム作成に必要なSDK(Software Development Kit)とサンプルプログラムも添付済みだ。決まったルートを走るように制御するプログラムを作って組み込めば、自動運転車として動作する。価格は800万円(税別)。このセットは「自動運転パッケージ」として売り出す。
ただし、これだけでは無人のコースを事前に決めたように走ることしかできない。センサーで周囲の状況をつかみながら、周囲の車両と協調して走行する自動運転車を作るには各種センサーが必要になる。ZMPはその要望に応えて、各種センサーをオプションで用意している。2つのカメラで前方を捉え、障害物を検知する「ステレオビジョン」や、レーザーで周囲の物体や車両との距離を測る「レーザーレンジセンサー」、周囲の障害物を検知する「ミリ波レーダー」、車両の状態や位置を検知する加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー、GPS(Global Positioning System)、気圧センサーなどを用意している。
さらに、自動運転にすぐに対応できる「Autowareパッケージ」も用意する。価格は1330万円(税別)から。自動運転パッケージを基に、ステレオビジョンとレーザーレンジセンサーを取り付け、自動運転機能を提供するソフトウェア「Autoware」を組み合わせたものだ。Autowareは名古屋大学が中心となって開発を進めているオープンソースソフトウェア。ソースコードを公開しているので、開発者は自身の手で改良や機能追加ができる。Autowareパッケージを購入して、自動運転の精度を高めようとソフトウェアを改良したり、まったく新しい機能を付け加えようとする場合は、こちらを購入するほうが開発に手がかからない。
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ZMP