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イギリスの総発電量に対する再エネの比率が約30%に、過去最高値を更新

2017/09/29
(金)
SmartGridニューズレター編集部

イギリスの総発電量のうち再生可能エネルギー由来のものの比率が2017年第2四半期に29.8%に達した。

イギリスのビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy & Industrial Strategy)は2017年9月28日、同国の総発電量のうち再生可能エネルギー由来のものの比率が2017年第2四半期に29.8%に達したと発表した。前年同期の値である25.4%を4.4ポイント上回り、2017年第1四半期に記録した過去最高値である26.9%も大きく上回った。

2017年第2四半期の総発電量はおよそ75.5TWh(755億kWh)で、再生可能エネルギー由来の発電量がおよそ22.5TWh(225億kWh)となったため、再生可能エネルギー由来の電力が占める割合がおよそ29.8%と過去最高を記録した。ビジネス・エネルギー・産業戦略省は過去最高値を記録した要因として、発電設備の増加を挙げている。特に陸上風力発電と太陽発電の設備の増加量は著しいとしている。そしてもう1つ、総発電量が低下しているという要因も挙げている。総発電量が低下する中で、再生可能エネルギーを利用した発電量が増加したことで、相対的に比率が高まったというわけだ。

前年同期の再生可能エネルギー由来の発電量は19.8TWh(198億kWh)だったので、およそ14%(2.7TWh:27億kWh)上昇したことになる。ただし、2017年第1四半期は再生可能エネルギーで25TWh(250億kWh)発電している。これに比べるとおよそ10.3%(2.6TWh:26億kWh)低下している。

電源別に見ると、特に陸上風力発電による発電量が伸びた。前年同期の実績は4TWh(40億kWh)だったが、2017年第2四半期は50%増となる6TWh(60億kWh)まで伸びた(総発電量に対する比率はおよそ7.9%)。加えて、洋上風力による発電量が前年同期比で22%増加し、4TWh(40億kWh)となり(総発電量に対する比率はおよそ5.3%)、陸上と洋上の風力による発電量は、再生可能エネルギーによる発電量のおよそ44.4%となった。イギリスにとって風力は最大の再生可能エネルギー源となっている。

図 再生可能エネルギーによる発電量をエネルギー別に見ると風力が最も大きな割り合いを占める

図 再生可能エネルギーによる発電量をエネルギー別に見ると風力が最も大きな割り合いを占める

出所 Department for Business, Energy & Industrial Strategy

再生可能エネルギーの発電設備の量は、出力合計で38GW(3800万kW)で前年同期比で13%(4.4GW:440万kW)増となった。ちなみに、2017年第1四半期と比較すると1.5%(600MW:60万kW)増だ。

エネルギーごとに見ると、最大の比率を誇るのは太陽光発電設備。出力合計で12.5GW(1250万kW)で、再生可能エネルギーを利用する発電設備のうちおよそ33%を占める結果になった。それに陸上風力(32%)、バイオエネルギー(15%)、洋上風力(15%)が続く。陸上風力は過去1年間で出力合計にして2.5GW(250万kW)増加し、洋上風力は600MW(60万kW)、太陽光は1GW(100万kW)増加した。

今回の結果は、風況に恵まれた地理的条件を最大限活用した結果と言えるだろう。設備の数を見るとまだ太陽光発電設備がわずかな差で首位となっているが、最近の設備増設傾向を見ると、風力発電の設備のほうが勢い良く増えている。この傾向が洋上風力にも波及すれば、総発電量に対する再生可能エネルギー電力の比率はさらに上がっていくだろう。


■リンク
Department for Business, Energy & Industrial Strategy

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