トヨタ自動車の北米法人であるToyota Motor North Americaは2018年7月30日(アメリカ中部標準時間)、大型燃料電池トラックの改良型を公開した。Toyota Motor North Americaは2017年夏から、カリフォルニア州のロサンゼルス港にトヨタ自動車が開発した大型燃料電池トラックを投入し、大気汚染物質減少を目的とした実証実験「Project Portal」を実施している(参考記事)。今回公開した改良型も実証実験に追加投入する予定だ。
図 Toyota Motor North Americaが公開した、改良型の大型燃料電池トラック
出所 トヨタ自動車
改良型は、実証実験に投入した車両の運用データなどを活かして開発したという。最大の改良点は、水素タンクの本数。改良前の車両では4本を搭載していたが、改良型では6本を搭載する。この結果、水素を満充填した状態での航続距離を約320kmから約480kmに引き伸ばした。ほかには、燃料電池ユニットの配置を変更して、ホイールベースを延長することなく運転席後部に簡易ベッド付きの仮眠スペースを確保したなどの改良が加わっている。
現在、実証実験で運用している大型燃料電池トラックは、港湾エリアで実際に貨物を輸送し、およそ1万6000kmを走行しているという。Toyota Motor North Americaは、港湾部の大気汚染物質をさらに削減するために、カリフォルニア州ロングビーチ港に燃料電池と水素ステーションを兼ね備える「Tri-Gen」を建設する予定だ。Tri-Genでは、カリフォルニア州の畜産場の家畜排泄物や汚泥などのバイオマスから水素を取り出す。燃料電池の1日あたりの発電量は約2.35MWh(2350kWh)で、水素製造量は1.2トンとなる予定だ。Tri-Genは2018年に建設が始まり、2020年ごろに稼働開始の予定となっている。