トヨタ自動車の北米法人であるToyota Motor North America、トラック製造販売大手のアメリカKenworth、エネルギー大手のRoyal Dutch Shellの3社は2018年9月14日(アメリカ中部標準時)、貨物輸送のゼロ・エミッション化を目指したロサンゼルス市港湾局の事業に参加すると発表した。これまでToyota Motor North Americaは、ロサンゼルス市港湾局が実施した大気汚染物質減少を目的とした実証実験「Project Portal」に参加し、燃料電池を搭載した大型トラックを提供し(参考記事)、航続距離を伸ばした改良型も提供している(参考記事)。
図 Toyota Motor North Americaが提供した改良型の大型燃料電池トラック
出所 トヨタ自動車
今回の事業では、ロサンゼルス港湾局が新たに貨物輸送車として大型燃料電池トラックを導入し、車両が排出する大気汚染物質の削減に取り組む。将来はロサンゼルス港周辺に限らず、より広い範囲をカバーする貨物輸送網を構築することを目指すという。この事業によって、年間でCO2排出量を465トン、窒素酸化物やPM10などの有害物質の排出量を0.72トン削減できるとしている。
Toyota Motor North Americaは、Kenworthの大型トラックの車台を利用して、性能をさらに高めた大型燃料電池バスを10台開発し提供する。10台のうち4台をトヨタ自動車の子会社であるToyota Logistics Servicesが運用し、3台をUnited Parcel Serviceが、2台をTotal Transportation Servicesが、1台をSouthern Counties Expressが運用する。10台の大型燃料電池トラックはロサンゼルス市外のヒューニーメ港や、内陸部のリバーサイド郡、マーセド郡などを走行し、貨物を輸送する。
大型燃料電池トラックの投入に合わせるようにRoyal Dutch Shellは、ロサンゼルス市のウィルミントン地区と、内陸部のオンタリオ市に大型水素ステーションを新設する。すでにロサンゼルス周辺のToyota Motor North Americaの施設内で3基の水素ステーションが稼働しており、2カ所に新設することでロサンゼルス港周辺5カ所で水素を充填できるようになる。
加えてロサンゼルス市港湾局は、ヒューニーメ港に電動トラクター2台を新たに導入する。さらにToyota Motor North Americaは、同社の港湾倉庫で使用するフォークリフトを排ガスを発生しないものに入れ替えていくとしている。
ちなみに今回の事業は、カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)の補助金プログラム「ZANZEFF:Zero-and Near Zero-Emission Freight Facilities Project(貨物輸送施設における大気汚染物質削減プログラム)」の補助金交付候補となっている。正式に補助金交付が決まれば、事業にかかる約8300万ドル(92億9600万円:1ドル=112円として換算)のおよそ半分に当たる額の助成を受けられる。