2015年6月4日、株式会社日立製作所(以下:日立、東京都千代田区)と日立化成株式会社(以下:日立化成、東京都千代田)のグループ会社である新神戸電機株式会社※1(以下:新神戸電機、東京都中央区)は、東京電力株式会社(以下:東京電力、東京都千代田区)の協力を得て、東京電力伊豆大島発電所敷地内に、日立が新神戸電機と開発した1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムを電力系統に接続する工事を完了し、実証試験を開始したことを発表した。
写真1
日立と新神戸電機は、2011年より国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO)の助成事業である「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」にて、1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの開発に取り組んできた。
開発した蓄電システムは、ピークシフトやピークカットに対応するための電力貯蔵に有利な「高入出力・長寿命鉛蓄電池」(写真2左)と、電圧および周波数の短周期変動を抑制するために有利な「リチウムイオンキャパシタ」(写真2右)を組み合わせ、最適な電流の入出力制御技術を適用することで、短時間で大電力の充放電を可能とし、出力変動の緩和や余剰電力の再利用、周波数の安定化を実現する。
写真2
同実証試験は、独立した系統であるため再生可能エネルギーの大量導入時に系統への影響が大きい伊豆大島の電力系統に、1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの実証設備を接続し、短周期変動抑制やピークシフトなどの機能や寿命など、蓄電システムの有効性についての検証・評価を行う。
試験期間は2015年6月から2016年2月まで実施し、蓄電システムの制御技術を確立するとともに、既設発電所の運転への影響を評価するなど、島嶼(とうしょ)部マイクログリッドにおける電力安定供給への貢献度も検証する(図1)。
図1
※1:新神戸電機は日立化成の100%子会社であり、同社の営業、事業企画、研究開発部門は2013年4月1日までに日立化成に移管統合されている。