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SAPジャパン、日立、ESRIジャパン、インフラのビッグデータ利活用システム基盤の開発・検証を実施

2015/11/09
(月)
SmartGridニューズレター編集部

2015年11月9日、SAPジャパン株式会社(以下:SAPジャパン、東京都千代田区、代表取締役社長:福田 譲)、株式会社日立製作所(以下:日立、東京都千代田区、執行役社長兼 COO:東原 敏昭)、ESRIジャパン株式会社(以下:ESRIジャパン、東京都千代田区、代表取締役社長:正木 千陽)は、3社の製品を連携させ、社会インフラに関する将来予測を可能にするビッグデータ利活用システム基盤を開発し、実用化に向けた検証を実施したことを発表した。

同システム基盤は、社会インフラに関する膨大な現在と過去のデータをもとに、特定区域の混雑状況の予測など、さまざまな将来予測を迅速に行い、地図画面上で瞬時に可視化できるものとなる。

今後3社は、同システム基盤の実用化に向けた取り組みを推進し、広域都市交通や物流の効率化、水道・電気・ガスといったインフラ設備の安定稼働など、安全・安心・快適な社会インフラの実現への貢献を目指す。実証の内容と活用例は次の通り。
 図 3社製品連携イメージ

開発・技術検証の内容

プロジェクトでは、インメモリデータベースによるリアルタイムなデータ処理に優位性をもつ「SAP HANA」と、日立の超高速データベースエンジン「Hitachi Advanced Data Binder」(以下:HADB)※1、企業における地理空間情報を活用した意思決定を支援するESRIジャパン※2のソフトウェア「ArcGIS※3の3製品を連携させ、将来予測を行うとともに、その結果を地図画面上へ瞬時に表示するシステム基盤の開発・検証を行った。

具体的には、「SAP HANA」を用いて「HADB」に蓄積された膨大なデータを高速に処理するため、両製品の連携を実現するソフトウェアである「連携アダプタ」を開発し、「SAP HANA」のSDA※4機能と組み合わせることで、3製品がスムーズに相互連携するシステム基盤を構築した。また、「SAP HANA」に格納した現在の状況に関するデータと「HADB」に蓄積した履歴データを活用した将来予測を行い、現在の状況と将来予測の結果を「ArcGIS」の地図画面上で瞬時に表示できることを検証した。

検証にあたっては、東京大学空間情報科学技術研究センターが提供する、約130万人分の移動履歴とその交通手段に関するデータ(人流データ)※5を活用し、タクシーの最適配車を想定したシミュレーションを実施した。具体的には、まず、東京首都圏のある特定日時における人流データを現在の状況と仮定し、そのデータをもとに「SAP HANA」で「現在の混雑箇所」を把握し、現在の混雑箇所から数十分後に移動する可能性が高い複数地点を、「HADB」に格納した膨大な履歴データの中から統計的に導き出すことで将来予測を行い、これらの結果を「ArcGIS」の地図画面上に高速に表示することが実証された(図参照)。

同システム基盤の活用例

  1. 人流予測による快適な都市交通インフラの実現:
    大都市圏における複雑な都市交通インフラの効率化に活用が可能。例えば、現在の混雑箇所の特定と、過去の移動パターンを組み合わせて分析することで、将来の混雑箇所や移動先候補を予測することが可能になり、タクシーなどの効率的な運用を実現できる。
     
  2. 最適な集荷・配送ルートの予測による広域物流業務の効率化:
    物流事業者による広域物流業務の効率化に活用が可能。例えば、配送物の集積や配送の状況に関するデータを分析することで、荷物の配送状況をリアルタイムに把握できるほか、過去の配送パターンを踏まえ、季節や時間ごとの特徴に応じた最適な集荷・配送ルートを利用することが可能になる。
     
  3. インフラ設備の故障予兆把握と保守点検ルートの最適化:
    稼働停止が許されない電力や水道といったインフラ設備の安定稼働と、保守作業の効率化に活用が可能。具体的には、複数の地域に点在する設備機器に設置したセンサーなどから取得したデータを分析し、故障の予兆がある部品をリアルタイムに把握するとともに、過去の故障履歴から故障パターンや適切な部品の交換タイミングを予測することで、保守点検作業の手順や作業員の移動ルートを最適化することができる。

※1 Hitachi Advanced Data Binder:内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川 優 東京大学教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用している。

※2 ESRI社では、ArcGISにおいてSAP HANAのSpatial機能の接続をサポートしているため、SAP HANAでリアルタイムに分析した空間情報を地図上に表示することが可能です。日本国内でもサポートを予定する。

※3 ArcGIS:ESRI社が提供するGIS製品、サービス群の総称。今回の高精度な予測結果の可視化には、クラウドサービスであるArcGIS Onlineを採用している。ArcGIS Onlineでは、背景地図やデータコンテンツを自由に変更することができるほか、さまざまなデバイスに対応する。GISデータを可視化するツールでありながら、同時にGUIベースでWebアプリケーション作成機能を備えており、設定のみでアプリケーションを構築、公開することが可能となる。

※4 SDA(Smart Data Access):SAP HANAにおけるデータ仮想化技術の1つで、異種のデータが混在するリレーショナルおよび非リレーショナル・データベースシステムに対する動的なクエリーを実現する。同機能により、SAP HANAプラットフォームが持つパワーを、データ仮想化の世界にも適用し、異種混在データソースへのクエリーを簡素化するとともに、データの保存場所や用途に基づいて、その応答時間を最適化することが可能となる。

※5 今回の技術検証は、東京大学空間情報科学研究センターとの共同研究プロジェクト「人流データを利用したタクシー配車効率化に関する研究」として、同センターが個人を特定できないように加工して提供している人流データを使用した。

■リンク
SAPジャパン
日立製作所
ESRIジャパン

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