Automobili Lamborghiniは2017年11月7日(アメリカ東海岸時間)、電気自動車(EV)のコンセプトカー「Terzo Millennio」を公開した。アメリカMIT(Massachusetts Institute of Technology:マサチューセッツ工科大学)と共同で開発したもの。お披露目の場も、2017年11月6日から9日にMITのキャンパスで開催された技術者会議「EmTech MIT 2017」となった。
図 LamborghiniがMITと共同で開発したEVのコンセプトカー「Terzo Millennio」
出所 Automobili Lamborghini
このコンセプトカーの名称である「Terzo Millennio」は、日本語にすると「第三千年紀」となる。現在、ガソリンエンジン車からEVなどの電動車への転換という自動車業界始まって以来最大の激変期を迎えている。Lamborghiniがコンセプトカーに付けた名前には、「次の世代を代表する自動車になってほしい」という願いが込もっているのかもしれない。そして、その名にふさわしい「スーパーカー」と言える内容になっている。
このコンセプトカーの大きな特徴は電源にある。普通のEVは電源として重いリチウムイオン蓄電池を搭載しているが、このコンセプトカーは搭載していない。その代わりに「キャパシタ(コンデンサ)」を搭載している。キャパシタはリチウムイオン蓄電池に比べると体積、重量当たりの蓄電容量(エネルギー密度)が低く、体積の割には多くの電力を貯められない。
しかし、キャパシタには一瞬で大電力を出力できる(パワー密度が高い)という特性がある。リチウムイオン蓄電池も、実用の蓄電池の中ではパワー密度が最も高い。しかし、Lamborghiniはモーターの電力源としてリチウムイオン蓄電池では不十分と判断し、さらに高いパワー密度を求めてキャパシタを選んだ。Lamborghiniは今後、MITと共同でさらに性能が高いキャパシタ「スーパーキャパシタ」を開発するとしている。
もう1つの特徴はCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)製のボディやフレームだ。Lamborghiniは、このボディやフレームに電力を充電することを考えているのだ。実現すれば、重いリチウムイオン蓄電池を搭載する必要がなくなる上、ボディやフレームの素材がCFRPになることから、車体重量の大幅な軽量化が実現できる。CFRPに充電する手法について詳細は明らかにしていないが、「ナノ材料」を活用するとしている。ボディやフレームの材料となるCFRPにナノ材料を混ぜ込んだり、表面に塗るなどの手法を活用すると考えられるが、どのような手法を使うのか、そしてどれくらいの電力を充電できるのかと言った点については今後の研究次第だ。
駆動用モーターは4基。すべてホイール内に入れるインホイールモーターであり、4輪駆動となる。LamborghiniとMITはこれから、ばね下重量(足回りの重量)を減らしながら、インホイールモーターの出力を、Lamborghiniがこれまで発売してきた「スーパーカー」と遜色ないレベルまで高めるという。
そしてLamborghiniは、同社ならではの研究も進める。同社のV12エンジンが発するような、その自動車の代名詞とも言える「音」が必要だとして、最適なものを探求しているという。