ガスコージェネ「SGP M450」が水素混焼に対応
三菱重工グループでエンジンやターボチャージャーの製造・販売を手掛ける三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(以下、MHIET)は、同社のガスコージェネレーションシステム「SGP M450」を体積比で最大15%の水素混焼に対応させ、発売する(図1)。発電出力は、450kW(キロワット)。東邦ガス株式会社(以下、東邦ガス)と共同開発した。2025年7月4日に発表した。
図1 MHIETのガスコージェネレーションシステム「SGP M450」の外観
出所 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社 ニュース 2025年7月4日、「MHIET、水素混焼が可能な450kWガスコージェネレーションシステムの販売開始」
停電発生時の初期負荷投入量を抑える仕様でBCPにも対応
MHIETは、都市ガス専焼のガスコージェネレーションシステムであるSGP M450を東邦ガスと共同開発し、販売してきた。今回、同システムを水素混焼に対応させた。新システムでは、従来のガスエンジンからの変更範囲を最小限にするため、水素混合率を最大15%に設定した。運転は、都市ガス専焼、水素混焼という2つのモードがあり、負荷運転中に任意に切り替えられる。水素混焼仕様では、エンジン始動時に都市ガスのみを用いる仕様とすることで、停電発生時の初期負荷投入量を都市ガス専焼仕様と同等にでき、BCP(事業継続計画)への対応も可能だという。
都市ガス専焼仕様のみで提供する「水素レディ」パッケージも展開する。これは、あらかじめ水素混焼に必要な機器や機能を組み込むことで、水素混焼仕様に変更する際、現地改造の工事期間を短縮するもの。
MHIETと東邦ガスは、都市ガス専焼ガスエンジン「GS6R2」をベースに、燃料ガス系統やエンジン制御装置を改良した水素混焼エンジンを開発した。同エンジンの実証試験を東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)で実施し、水素混合時の信頼性やCO2削減効果を確認した。さらに、さまざまな運転パターンを模擬した試験を実施し、電力需要の変動に応じた調整力や、運転の安定性を検証した。その結果、異常燃焼などのリスクはなく、都市ガス専焼仕様と同様の運用が可能であることを確認した。これらの知見をもとに、新システムを開発した。
MHIETによれば、コージェネレーションシステムは分散型エネルギーリソースの1つとしてだけでなく、大規模災害などによる停電時にも対応可能な電源であることから、レジリエンスの強化という点でも期待されている。
参考サイト
三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社 ニュース 2025年7月4日、「MHIET、水素混焼が可能な450kWガスコージェネレーションシステムの販売開始」