AIで蓄電池の充放電を制御
Eneliver株式会社(以下、Eneliver)は、家庭や施設の太陽光発電設備、蓄電池、EV充電器を統合管理するためのシステム「Eneliver EMS」の提供を開始した。AI技術や独自アルゴリズムを活用し、電力市場価格や気象予報などに応じてEVや蓄電池の充放電を制御する。これにより、電気代の削減とCO2排出量の抑制を両立するという。2025年9月3日に発表した。
図1 「Eneliver EMS」のシステム概要
出所 PR TIMES Eneliver株式会社 2025年9月3日、「Eneliver、家庭・施設向け次世代エネルギー管理システム「Eneliver EMS」を提供開始」
専用分電盤が不要で設置可能
Eneliver EMSは、OCPP注1対応のEV充電器やECHONET Lite注2対応の太陽光発電設備、蓄電池といったIoT機器と連携し、家庭や施設の電力使用状況を可視化する。
さらに、AIや独自アルゴリズムを活用し、電力市場価格や気象予報といった外部データを反映し、EVや蓄電池への充電と放電のタイミングと量を制御する(図2)。具体的には、太陽光発電による余剰電力を蓄電池やEVに充電し、電力需要が高まる夜間などに放電することで、電力会社からの買電量を抑制する。電力需要が契約電力を超えそうになった際に、EVや蓄電池から自動で放電して電力ピークを抑制する。電力市場価格が安い時間帯には充電し、高い時間帯に放電することで、効率的に電気代を削減する。
図2 AIや独自アルゴリズムによる制御のイメージ
出所 PR TIMES Eneliver株式会社 2025年9月3日、「Eneliver、家庭・施設向け次世代エネルギー管理システム「Eneliver EMS」を提供開始」
このほか、FIT制度の売電価格に応じて売電収入の最大化と自家消費の最適化を切り替えるモード選択や、利用者の予定に合わせた充放電カスタマイズ機能なども搭載する。
専用のゲートウェイを一般的なコンセントに挿すだけでインターネットに接続できる。そのため、従来、家庭内のエネルギー管理に用いられているHEMS(Home Energy Management System)などで必要だった専用分電盤の設置が不要である。
Eneliverが機器設置から補助金活用までを支援し、初期費用を無料にするプランを提供する。
対象とするのは戸建住宅から集合住宅、事業所、商業施設で、戸建住宅では、電気代削減、集合住宅では住民満足度の向上や災害対策強化による不動産価値向上につながる。事務所や工場では、電力コストの可視化による経費削減や、社有EV導入による燃料費削減、管理業務の効率化が期待できる。商業施設や公共施設では、主要な維持コストである電気代を削減するとともに、集客力強化や環境配慮型施設としての企業価値向上にもつなげるとする。
2025年には、複数の社用EVを対象に、デマンド目標値と各車両の充電タイミング・量を自動で最適化する「フリート向けスマート充電」をリリースする予定。将来的には、電力系統の需給調整に協力してインセンティブを得る「デマンドレスポンス機能」も順次追加していく計画である。
注1:OCPP(Open Charge Point Protocol):EV充電器と中央管理システム(CSMS)間の通信プロトコル。異なるメーカーの機器間での相互運用性を確保するオープンな標準規格である。
注2:ECHONET Lite:スマートハウス向けに策定された通信プロトコル。異なるメーカーの家電や住宅設備をネットワークで接続し、相互に制御することを可能にする。
参考サイト
PR TIMES Eneliver株式会社 2025年9月3日、「Eneliver、家庭・施設向け次世代エネルギー管理システム「Eneliver EMS」を提供開始」