[特別レポート]

NGN時代のDOCSIS 3.0とケーブル(CATV)戦略(1) =シスコケーブルソリューションセミナー2008=

2008/04/23
(水)
SmartGridニューズレター編集部

〔3〕シスコのDOCSIS 3.0対応製品

次に、マリアパン氏は、シスコのDOCSIS 3.0対応製品の特徴について説明した。

「当社のDOCSIS 3.0の戦略は包括的で、M-CMTS、DOCSOS 3.0の両方をカバーし、拡張性やコスト削減を実現する。拡張性に富んでいるため、いまある機器をすべて入れ替えるのではなく、必要に応じて、機能を追加していく形で、DOCSIS2.0から移行できる。

また、DOCSIS 3.0は、I-CMTSとM-CMTSの両方に対応する。シスコは、DOCSISでは10年以上多くの実績、経験を蓄積しており、M-CMTSのI-CMTSのプロダクトに対応している。これらは自社開発であるため、知財の共有もできており、テクノロジーの進展に対しても、柔軟に対応できるのも、他社にはない強みだ」と強調した。

さらに、高度な機能として、IPTVをケーブルもDOCSIS3.0ケーブルモデムを使用して配信するVideo over DOCSISの開発を進めている。「これは帯域を効率的に利用するために、従来のMPEG2(SDTV/HDTV)だけではなくのMPEG4にも対応し、また、スケーラブルに、Video配信のダウンストリームを柔軟に利用することもできるため、必要な帯域を確保できる。IPv6についても、『Cisco uBR』ではCMTS上で初めてスケーラブルなIPv6の実装を実現している。Video(IPTV) over DOCSISは、すでにトライアルで提供しており、2008年後半にリリースする予定で、DOCSIS 3.0のソリューションに追加していくことになる」と語った。

NGNのコンテンツとして注目されるIPTVについては、「IPTVのサービスでもDOCSIS 3.0は重要なプラットフォームとなる。チャネル・ボンディング以外にも、エンハンスド・マルチキャストなどの機能があり、QoSなども提供している。これがIPTVのイネーブラ(実行機能)になる」と説明した。

DOCSIS 3.0の特徴をまとめると、

(1)下りのデータ転送速度が 160Mbps以上
(2)上りのデータ転送速度が 120Mbps以上
(3)IPv6対応
(4)拡張機能 DOCSIS上でQoSを考慮したIPマルチキャスト/AES暗号
(5)ビジネスサービス 回線を束ねた高帯域データサービス

ということになる。

そして、シスコの製品のラインナップとして図4を示し、「当社は、CPEゲートウェイ、STB(セット・トップ・ボックス)、エンコーダ、光機器、IPネットワーク機器、バックボーン機器など、家庭からヘッドエンド、IP NGNからDOCSIS 3.0、ビデオ・サービスにいたるまで広範にわたる製品をもっている。パートナー企業は、広範にわたる製品を選択しながらさまざまなソリューションを作り上げていく自由度がある」と説明した。

図4 シスコの製品ポートフォリオ(クリックで拡大)

今後のDOCSIS 3.0対応ケーブルモデムのロードマップについては、図5を示し、「当社は、DOCSIS 3.0やM-CMTSに対応するソリューションを提供していく。ゲートウェイやM-CMTSのラインカード、DOCSIS 3.0対応モデム、CPE(Customer Premises Equipment、顧客宅内機器)などの製品だ。モジュール型で機能を強化したり追加でき、可用性が高いのも特徴である」と語った。

図5  DOCSIS 3.0の製品ポートフォリオ(クリックで拡大)

〔4〕光ファイバ網でDOCSISを利用する「「D-PON」

最後に、DOCSIS 3.0の先の技術として、図6を示して、光ファイバ網でDOCSISを利用するD-PON(DOCSIS-PON )について説明し、

「今後、光ファイバが普及していくが、ケーブル網がすぐに置き換えられるものではない。さらに、DOCSISはプロトコルとしては、非常に完成され包括的なものであるために、HFC(※)だけでなく、光ファイバ上でも利用することができる(D-PON)。DOCSISは、セキュリティ、ダイナミックサービス、IPv6対応、バックオフィス管理、マルチキャスト、パケットケーブルなどの仕様が標準化されているが、光ファイバ網ではこうした標準化はされていない」として、ケーブル事業者の優位性を強調し、

「DOCSIS 3.0および、M-CMTSを通じて、パートナーであるケーブル事業者は広帯域のサービスを、経済性のある形で提供できる。これに対して、当社は、DOCSIS 3.0に準拠したさまざまな機器を提供し、パートナー企業の事業の発展をサポートしていきたい」と締めくくった。

※HFC:Hybrid Fiber Coaxial。光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせた回線
※PON:Passive Optical Network。光ファイバ網の途中に、光スプリッタ(光カプラ)と呼ばれる分岐装置を挿入し、1本の光ファイバを分岐させる技術

図6 D-PONのシステムコンポーネント(クリックで拡大)

>>「第2回:NGNによる通信ビジネスの変革 ~ケーブル(CATV)業界が直面する脅威~」へつづく

 

 

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