[クローズアップ]

世界初公開! 920MHz対応ZigBee IPでECHONET Lite通信を実現

─OKIとアドソル日進が相互接続に成功─
2013/04/01
(月)
SmartGridニューズレター編集部

いよいよオープンなZigBee IP 1.0 の公開が間近になってきた。これを裏付けるかのように、過日開催された「ZigBeeフォーラム2013 Osaka」では、日本版ZigBee IP 1.0 である「920MHz ZigBee IP」上でECHONET Lite を走らせた世界初の相互接続デモが、OKI とアドソル日進の間で行われ、大きな注目を集めた。ここでは、そのデモの状況をレポートする。

「ZigBeeフォーラム2013 Osaka」で注目された2つの発表

去る2013年2月22日、大阪の梅田スカイビルにおいて、ZigBee標準の普及を促進するため、恒例の「ZigBeeフォーラム2013 Osaka」(セミナーと展示会)が開催された。例年は東京で開催されるが、今年は初めて大阪で開催された。200名の会場は満席となり、大阪においてもZigBeeへの注目度の高さが伺えた。そのようななか、今年は注目すべき発表がいくつか行われた。

〔1〕ZigBee IP 1.0とJJ-300.10が近日公開へ

最初に、基調講演を行ったZigBee Allianceのボブ・ハイル(Bob Heile)名誉会長注1から、「ZigBee IP 1.0の完成と近日公開」が世界に先駆けて発表された。さらに、2人目の基調講演を行ったTTC次世代ホームネットワークシステム専門委員会の伊藤昌幸委員長から、注目されている「TTC標準JJ-300.10注2の近日公開」が発表された。

ZigBee IPは、スマートハウス向けにIPv6プロトコルに対応したオープンなZigBee規格である。IPv6対応とすることによって、既存のIPシステムとの親和性が高くなり、普及が促進されると期待されている。すでに、米国商務省傘下のNIST(国立標準技術研究所)がスマートハウスの標準として利用することを決めている規格である。

〔2〕920MHz ZigBee IPはTTC標準JJ-300.10の方式Bへ

このZigBee IPを、日本の920MHz帯で利用できるように修正したものが「920MHz ZigBee IP」であり、現在ZigBee Allianceで審議が進められている。その日本語版が、TTC標準JJ-300.10の方式Bとして公開されることになった。ZigBee SIGジャパンのアプリケーションWGの福永茂リーダーによると、「ZigBee Allianceの規定により、3社以上の相互接続確認ができるまで規格を公開できないが、HEMSの立ち上がりが期待される日本市場に向けて、TTC標準JJ-300.10として先行して公開する」ということである。

920MHz ZigBee IP上にECHONET Lite走らせ相互接続デモ

また、今回のフォーラムでは920MHz ZigBee IPを用いてECHONET Liteを伝送する「ECHONET Lite over 920MHz ZigBee IP」による相互接続デモが公開された(写真1)。

写真1 「ECHONET Lite over 920MHz ZigBee IP」による相互接続デモの外観

写真1  「ECHONET Lite over 920MHz ZigBee IP」による相互接続デモの外観

このデモは、OKIとアドソル日進という異なる2社間で行われた。920MHz ZigBee IPの相互接続デモは初公開であったが、今回のデモではさらにECHONET Liteも搭載したエアコンの制御や電力量測定なども行われた。

ECHONET Liteは、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)のアプリケーション・インタフェースとして経済産業省が推奨する方式であり、下位の伝送メディアを特定しないのが特徴である。

これまでEthernetやWi-FiによるECHONET Liteの動作例は報告されているが、920MHz帯を利用してIPv6対応のネットワークを実現し、相互接続した例は初めてである。JJ-300.10には、ZigBee IPのほかに、Wi-SUNが規定するIP方式/非IP方式などが規定されている。今回のデモを通して、参加者に920MHz ZigBee IPが実用のレベルまで達しているとの印象を与え、その完成度に会場から期待が集まっていた。

今回のデモのシステム構成

今回のデモのシステム構成は、図1のとおりである。相互接続デモに参加したOKIとアドソル日進が、それぞれ920MHz ZigBee IPとECHONET Lite対応の通信機器を担当したシステム構成となっている(写真2、写真3)。会場のデモでは、ECHONET Lite Ready機器(ECHONET Lite対応)の実際のエアコンにECHONET Liteアダプタを接続し、サービスゲートウェイを経由して、タブレットのユーザーインタフェースから温度や風量を制御するデモを行っていた。

図1 920MHz ZigBee IP over ECHONET Lite相互接続デモの構成図

図1  920MHz ZigBee IP over ECHONET Lite相互接続デモの構成図

〔出所 ZigBee SIGジャパン〕

写真2 OKIのECHONET Lite対応の920MHz ZigBee IP関連機器

写真2  OKIのECHONET Lite対応の920MHz ZigBee IP関連機器

写真3 アドソル日進のECHONET Lite対応の920MHz ZigBee IP関連機器

写真3  アドソル日進のECHONET Lite対応の920MHz ZigBee IP関連機器

また、電力量センサーの情報をタブレットに送信する、いわゆる「電力の見える化」の構成も展示された。簡単なネットワーク構成によるデモであったが、ECHONET Liteが目指すHEMSの基本構成システムを、920MHz ZigBee IPによって動作させ確認できた意義は大きい。

今後、より多くの企業による相互接続性の確認が行われ、920MHz ZigBee IPが市場へ大きく普及することが期待されている。


▼ 注1
Heile氏はZigBee Alliance創設以来会長を務めていたが、2013年2月11日に名誉会長に退き、チーフテクノロジストを兼務。後任の議長には、Tobin Richardson(トビン・リチャードソン)氏が任命され、CEOも兼務する。

▼ 注2
ECHONET Lite向け920 MHz帯無線方式の標準規格。下記にて公表されている。
http://www.ttc.or.jp/j/info/topics/201302251/

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