写真1 一色正男教授(神奈川工科大学 スマートハウス研究センター所長、同大学 創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科 教授)
一般に、機器を相互接続する試験の場合は、メーカーがそれぞれ開発した機器を持ち込んで相互接続試験を行う、いわゆる「プラグフェスタ」(Plugfesta)と呼ばれるイベントが開催されるが、新しく開設されたHEMS認証支援センターでは、標準器を設置して相互接続試験を手軽に行う仕組みとなっている。
HEMS機器認証システムによる試験
同センターの責任者である、神奈川工科大学スマートハウス研究センター所長の一色正男教授(写真1、2)は「このセンターは、基本的に機器がECHONET Lite仕様に従って動くかどうかを評価するためのセンターです。このため、認証したい機器をこのセンターに持ち込んでいただいて、試験していただくことになります」と述べた。同センター1階の試験室に並べられた4台のパソコン(PC、写真3)で構成される「HEMS(ECHONET Lite)機器認証システム」での試験は、次のように行われる。
(1)一番左側の機器側PCに、例えば認証したいECHONET Lite対応のエアコンなどの機器を設置する。
(2)次の2台目のコントローラPC(自動テストツール)には、マスターとなるECHONET Liteの標準プログラムが搭載されている。このコントローラPCと、機器側PCに持ち込まれた「エアコン」との間で通信し、データのやり取りが行われる。
(3)(2)の内容(パケット)を、次(3台目)のパケットキャプチャPCに、ログ(記録)として残しておく。
(4)試験が完了しOKだと判定されると、一番右にある試験端末PCの中にある、エコーネットコンソーシアム作成の約150項目に及ぶ試験項目チェック表の各項目の中に、合格の「○印」が付けられる。
(5)合格した内容を、認定された認証機関注1に書類申請することによって、正式に認証される。
この認証試験に要する時間は、機器のセッティングも含めて半日〜1日程度である。本来は、センターが試験料金を取るべき作業であるが、現在はスマートハウスの普及期であることや、政府からの補助金もあるため、今後2年間は無料で利用できることなっている注2。
さらに、一色教授は、「現在、さらなる普及に向けて、ECHONET Liteに関する無料の開発支援キットを開発し、2012年12月から提供していく予定です。この開発支援キットは、ECHONET Liteを搭載する機器開発の経験がない事業者に対して提供される、HEMS開発支援を目的とするソフトウェアです」と抱負を語った。
写真2 神奈川工科大学の敷地内に設置されたHEMS 認証支援センター
写真3 HEMS(ECHONET Lite)機器認証システム〔左から機器側PC、コントローラPC(自動テストツール)、パケットキャプチャPC、試験端末PC〕
▼ 注1
希望する認定認証機関の下記Webサイトにて申請必要資料をダウンロードし、その認証機関へ直接申請する。
■ 株式会社UL Japan
http://www.ul.com/japan/eng/pages/services/emc/certification/echonet/
■ 株式会社シーイーシー
http://www.proveq.jp/certification/echonet.html
▼ 注2
エコーネットコンソーシアム、『ECHONET Lite規格適合性認証(自己認証)申請の概要─ECHONETLite規格Ver.1.0*用 第2版」、2012年11月13日
http://www.echonet.gr.jp/kikaku_ninsyo/pdf/application_ECHONET_Lite.pdf