2016年度におけるDR実証の目的
〔1〕実証事業の目的
表2に示すように、同社は、2013〜2016年度の4年間、継続して政府のバーチャルパワープラント(VPP)構築事業費補助金によるDR実証事業を実施してきた。
表2 バーチャルパワープラント構築事業費補助金(B事業=高度制御型ディマンドリスポンス実証事業)
出所 https://www.iae.or.jp/download/b-1-9vpp/?wpdmdl=9006を元に編集部作成
2016年度(最終年度)のDR実証事業は、さまざまな要素をもつディマンドリスポンス(DR)プログラムを、日本において先行して実証し、その実効性と経済性の評価を行うことによって、日本におけるDRの基礎形成の一助となることを目的としている。
その主な実証内容は、次の(1)〜(4)の通りである。
(1)DRプログラム
この実証におけるDRプログラムは、他の実証と同じように、10分前予告、1時間前予告、4時間前予告の3種類であり、実証への参加企業の業種は次に示すように多様な企業の協力があった。
- 10分前予告:製紙工場、電気機械器具製造業、冷蔵倉庫、車輌工場ほか
- 1時間前予告:食品工場、スーパーマーケット、化学品工場、自動車部品工場、飼料工場、自動車部品工場、ステンレス溶接鋼管、排水処理、電気機械器具製造業ほか
- 4時間前予告:自動車部品工場、製紙工場、車輌工場、飼料工場ほか
(2)ベースライン
ベースラインとは、図3に示すように、DRの要請がなかった場合に、需要家側で想定される電力消費量のことである。図3は、縦軸に負荷(単位:MW)を横軸に時間をとったグラフで、ベースライン(点線)と、DRの要請によって負荷を削減(節電)した実負荷(実線)を示す。
図3 ベースラインのイメージ
- 10分前予告:事前事後計測
- 1時間前/4時間前予告:High 4 of 5(当日補正あり)
High 4 of 5(ハイ・フォー・オブ・ファイブ)とは、DR実施日の直近5日間(DR実施日当日を含まない)のうち、DR実施時間帯の平均需要量の多い4日間(High 4 of 5)の需要データのことで、一部の当てはまりのよい需要家には、同等日採用法を採用している。
(3)経済性評価:基本報酬、従量報酬ともに経産省によって規定された内容
(4)DRポートフォリオ:DRの対象となる商業・工業需要家などのグループのこと