北海道電力苫東厚真発電所にCO2回収設備を導入へ
北海道電力株式会社(以下、北海道電力)は、ボイラーの排ガスからCO2を回収するCO2回収設備を、同社の苫東厚真発電所に導入する(図1)。発電所や工場から排出されたCO2を回収し、地中などに貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留)技術の実用化を目指す。同設備では、1日あたり5,200トンのCO2を回収し、完成すれば国内最大規模のCO2回収量になるという。同設備の基本設計(FEED:Front End Engineering Design)を受注した三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)が、2025年7月7日に発表した。
図1 北海道電力の苫東厚真発電所
出所 三菱重工業株式会社 ニュース 2025年7月7日、「北海道電力苫東厚真発電所向け国内最大規模のCO2回収設備の基本設計を受注」
2030年に年最大200万トンのCO2貯留を計画
苫東厚真発電所では、回収したCO2を、北海道苫小牧エリアの海域を対象とした深部塩水層に貯留する計画である(図2)。2030年時点におけるCO2貯留量の目標は年間約150万~200万トンとしている。この計画は、北海道電力が石油資源開発株式会社(以下、JAPEX)、出光興産株式会社(以下、出光興産)と共同で、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下、JOGMEC)から受託した「先進的CCS事業に係る設計作業等」にもとづいて進められる。
図2 苫東厚真発電所におけるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留)のイメージ
出所 三菱重工業株式会社 ニュース 2025年7月7日、「北海道電力苫東厚真発電所向け国内最大規模のCO2回収設備の基本設計を受注」
今後、北海道電力はCO2回収設備の基本設計を策定し、三菱重工が関西電力株式会社(以下、関西電力)と共同で開発したCO2回収技術をもとに主要装置や仕様などの検討を進める。
三菱重工によれば、苫小牧エリアは、CCS事業法に基づき経済産業省から全国で初めて「特定区域」に指定されており、CCS事業の本格化に向けた試掘の検討が進められている。
参考サイト
三菱重工業株式会社 ニュース 2025年7月7日、「北海道電力苫東厚真発電所向け国内最大規模のCO2回収設備の基本設計を受注」
北海道電力株式会社 プレスリリース 2024年10月15日、「JOGMEC「先進的CCS事業」公募において苫小牧エリアでのCCS事業開始を目指す設計作業等を受託」