オートモーティブとエネルギー市場
このような自動車の電動化は、電力エネルギー分野にも大きな影響を与える。図4に、自動車の電動化の進展に合わせて、オートモーティブとエネルギーに関する市場動向を示す。
図4 自動車(オートモーティブ)&エネルギー市場
出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日
特に、地球温暖化対策も含めて国際的に開発が進められているEV/HEVなどの電動化に伴う電力エネルギーについて、同社Automotive and Energy Solutions事業部バイスプレジデントのジークフリート・グロス氏は、「2050年までに新たに3.46TWh(テラワット時)もの大量な電力量が必要とされています。これらの新しいエネルギー需要の多くは、従来の化石燃料由来の電力ではなく、太陽光発電をはじめとするクリーンな再生可能エネルギーよって賄われることが期待されています」と語った(図4右)。
オートモーティブカスタマーセンターのサービスメニュー
図5は、今回設立されたACCにおけるオートモーティブと電力エネルギーを統合したテスト環境のイメージ図である。
図5 ACCのテスト環境のイメージとキーサイトのパワー&エネルギー向け製品ラインナップの例
※1 エミュレーター:実際の装置やソフトウェア、システムの挙動を模倣し、代替として使用できる装置あるいはソフトウェアのこと
※2 CDS(Charging Discovery System):充電時のトラブル原因の解析や、EVと充電ステーション間のプロトコルの送受信の確認等を行う装置
※3 HEV/EVコンバーター特性評価用バッテリー・エミュレーター
※4 シミュレーターは外側から見た動作を模倣する装置、エミュレーターは中身の動作まで模倣し再現する装置(両者は似たように見える)
出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日
表2 オートモーティブ・カスタマー・センター(ACC)のサービスメニュー例
SiC/GaN:シリコンに代わる新しいパワー半導体。SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)
C-V2X:Cellular Vehicle to Everything、自動車と歩行者、他の車両、道路設備、ネットワークとの接続や相互連携を実現する、移動通信(4G/5G)を使用したコネクテッドカー技術の1つ
CXPI:Clock Extension Peripheral Interface、新しい車載通信方式
出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日
図5の上部には、太陽光パネル、送電線網、DC充電ステーション、EVなどが配置され、下部にそれらの各部のテストに使用されるキーサイトの各計測器やエミュレーターなどが配置されている。具体的には、左から右へ、N8900APV(太陽電池アレイシミュレーター)、ACエミュレーター、CDS(充電時のトラブル原因の解析システム)、EV1003A(HEV/EVコンバーター特性評価用バッテリー・エミュレーター、DCエミュレーター、マシンエミュレーターなどが使用されている。
表2に、ACCのサービスメニュー例を示す。特に、C-V2X(セルラーV2X)は、EVと電力エネルギーの融合を4G(LTE)/5G(NR:New Radio)のセルラー通信と連携して展開されていくため、大きな期待が寄せられている。