[新動向]

加速するEV/PHV&エネルギー融合時代のビジネス戦略

― キーサイト・テクノロジーがオートモーティブカスタマーセンターを設立 ―
2019/02/01
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

3つの大きなトレンドとキーサイトの役割

〔1〕3つの大きなトレンド

 現在、図1に示すように、3つの大きなトレンドがある。

図1 世界に革新をもたらす3つのイノベーション

図1 世界に革新をもたらす3つのイノベーション

出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日

 第1は、IoT時代を迎えて、2020年にはネットワークに接続されるデバイス(コネクテッドデバイス)は、300億個に達すると予測されていることだ。これは、全世界の人口を70億人と見て、(子供たちなどを除くと)1人当たり平均10個以上のコネクテッドデバイスを所有していることになる。

 第2に、自動車業界のイノベーションは加速しており、自動車の電子部品は2030年までに現在の2倍に増加し、2020年までに90%以上の新車がコネクテッドカーとなり、2030年までに自動車の30%以上が電気自動車(EV)になると見られている。

 第3に、コネクテッドの環境では50兆ギガバイトという桁違いの大量データがやり取りされるが、これをどのように安全にやり取りするかが重要な時代を迎えている。

 図2に、最近の自動車革命の進展に伴いエレクトロニクス化、電動化、デジタル化が進む自動車(EV/HEV)の構成例を示す。

図2 エレクトロニクス化、電動化、デジタル化が進む自動車(EV/HEV)の構成例

図2 エレクトロニクス化、電動化、デジタル化が進む自動車(EV/HEV)の構成例

※1 急ブレーキ時等における車輪のロックによるスリップ発生の低減装置  ※2 ヘッドライトを絶えず進行方向に光を照射する制御装置
※3 エンジンで発生させた動力を車輪に伝える装置
出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日

〔2〕キーサイトの役割

 一方、スタート時点では個別に発展してきたIoTをはじめ、モバイル(5G)、クラウド、インダストリー4.0、デジタルヘルスケア、半導体技術等々は、図3に示すように、すべて相互に関係をもって接続される時代を迎えている。

図3 すべてのモノの接続とキーサイト・テクノロジーの役割

図3 すべてのモノの接続とキーサイト・テクノロジーの役割

出所 “Automotive Customer Center”開設に関するキーサイト・テクノロジー メディア説明会資料、2019年1月17日

 このような動きを踏まえてチエ ジュン社長は、「キーサイトは、このような大きな革命の中心で役割を果たせるようなビジネスを展開していきます」と同社のビジョンを語った。

〔3〕e-モビリティ(EV/PHV)に向けたトータルソリューション

 また、近年、急速に普及しているe-モビリティ(electro Mobility、バッテリーや燃料電池からの電力で動くEV/PHVなど)が、さらに自律走行車(自動運転車)を目指して、大きなイノベーションを展開している。

 このような自律走行車で、特に重要な要素となるのが、インテリジェンス(かしこくなる車)、コネクティビティ(ナビゲーションやV2X。後述)、パワー(蓄電池や充電インフラ)そしてセキュリティ(エンジン制御ユニット用セキュリティなど)の4つのキーワードである。

 キーサイトでは、これらのe-モビリティの課題解決に向けて、オートモーティブカスタマセンター(ACC)において、後述するトータルソリューションを提供する。

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...