カーボンニュートラル/脱炭素
[ニュース]

大阪ガス、豪州で太陽光発電30万kWと蓄電池50万kWの共同事業を展開へ

再エネの導入加速と電力系統の安定化、脱炭素社会の実現を目指す
2023/10/27
(金)

発電は30万kW超、蓄電池は50万kWを計画

 大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)は、豪州において新たに太陽光発電と系統用蓄電池の事業に参画する注1。太陽光発電事業は合計30万kWを超える大規模・集中型で、蓄電池事業は合計50万kW超の規模を予定している。これらの事業は大阪ガスと、豪州で再エネ電源開発事業を展開しているACE Power Development Pty Ltd (以下、ACE社)との共同事業として行われる。

脱炭素に向けて再エネ比率82%を掲げる豪州での共同事業

 豪州は、世界でも意欲的な脱炭素政策を掲げており、電源の再エネ比率を2030年までに82%まで高めるとしている注2。ちなみに先進的なドイツの目標は前倒しされ、2030年までに80%だ注3。また系統用蓄電池においても、2017年に豪州に導入した米テスラ社製蓄電池注4は、当時、世界最大規模を誇った。その豪州にあってACE社は、東部ニューサウスウェールズ州に拠点をもち、豪州最大の電力消費エリアである東部地区を中心に太陽光発電所や風力発電所、蓄電池事業の開発を行ってきた(図1)。

図1 豪州での事業エリアとACE社の本拠地位置出所 大阪ガスプレスリリース「ACE社との豪州における大規模集中型太陽光発電事業および蓄電池事業の共同開発について」、2023年10月3日

 今回の事業では、
 (1)クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州において、大規模集中型太陽光発電所の開発
 (2)(1)に伴う電力系統の不安定化に対応する調整力として蓄電池の開発
などが検討されている。
 実際の事業は大阪ガスとACE社の100%子会社を通して行われ、案件ごとに両子会社が設立する合弁会社によって、必要な許認可や系統接続許可の取得、および電力販売契約などを行う(図2)。

図2 大阪ガスとACE社との事業スキーム・イメージ
出所 大阪ガスプレスリリース「ACE社との豪州における大規模集中型太陽光発電事業および蓄電池事業の共同開発について」、2023年10月3日

日本内外で500万kWの再エネ電源開発を目指す

 大阪ガスをはじめとするDaigas(ダイガス)グループ注5では、エネルギーの低・脱炭素化に向けた道筋とその具体策を示した「エネルギートランジション2030」を2023年3月に発表(図3)。この中で、国内外において500万kWの再エネ電源の普及に貢献することを目標としている。そのためにさまざまなパートナーとともに幅広い再エネ電源の開発を推進するとともに、今後は蓄電池やVPP注6に関する取り組みなども行う計画だ。

 今回の豪州における事業は、Daigasグループとしては初の案件。発表に際し大阪ガスでは、「今後は、蓄電池事業の拡大も通じて再エネの導入加速と電力系統の安定化、さらに社会課題である脱炭素社会の実現に取り組む」としている。

図3 Daigas Group「Energy Transition 2030」(エネルギートランジション2030)出所 大阪ガス株式会社、「Daigasグループ エネルギートランジション 2030」、2023年3月


注1大阪ガスプレスリリース「ACE社との豪州における大規模集中型太陽光発電事業および蓄電池事業の共同開発について」、2023年10月3日
注2https://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/stage2/contents/column0364.html
注3https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_DE_DecarboStrategy.pdf
注4:テスラ社製蓄電池:100MW(10万kW)/129MWh(12.9万kWh)の性能(3万以上の家庭に電力供給が可能)で、2017年12月1日から稼働開始。
注5:Daigasグループ:大阪ガスグループから2018年に名称変更している。
注6:VPP:Virtual Power Plant、仮想発電所。需要家側の太陽光発電などのエネルギーリソース(エネルギー資源)や、電力系統に直接接続されている発電設備・蓄電設備などのエネルギーリソースを統合的に制御することによって、あたかも1つの発電所であるかのような機能を提供する。

参考サイト

大阪ガス株式会社 プレスリリース「ACE社との豪州における大規模集中型太陽光発電事業および蓄電池事業の共同開発について」、2023年10月3日

大阪ガス株式会社、「Daigasグループ エネルギートランジション 2030」、2023年3月

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