ヤンマーは2017年3月23日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーでバイオマスガス化発電プラントを完成させ、運転を開始した。籾殻を蒸し焼きにして燃料となる水素(H)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)を取り出して、そのガスでコージェネレーションシステムを稼働させて発電する計画だ。
図 完成したバイオマスガス化発電プラント
出所 ヤンマー
発電プラントは現地の農業関係の企業であるMyanmar Agribusiness Public Corporation(MAPCO)の精米所の中に建設した。MAPCOから土地を賃借して発電プラントを運営する。発電プラントの通常時の出力は300kWで、最大で500kWまで出力を上げることが可能だ。ヤンマーはこの発電プラントを500kWで年間300日、24時間稼働させるとおよそ2300MWh(230万kWh)の電力を発電できると見積もっている。ただし、今回の実証事業では基本的に300kWで発電を続けるので、単純に換算すると年間でおよそ1380MWh(138万kWh)の電力を作り出すということになる。
発電した電力は精米施設を稼働させるために使う。見込みでは、今回建設した発電プラントで、精米施設の稼働に必要な電力をすべてまかなえるとのこと。また、コージェネレーションシステムが発電時に発する熱も有効活用する。燃料となる籾を乾燥させる設備に送り、熱源の一部として利用する。また、ガスを取り出した後の籾殻は肥料となる成分を含んでいる。ヤンマーはこれを農地で利用できるよう還元する方針を示している。
今回稼働を開始したバイオマスガス化発電プラントは、2018年3月まで稼働させることが決まっている。その後については、運転実績を精査して、その効果を判定して運転を続行するかどうか決めるという。
ミャンマーは水力発電を主な電力としているが、発電施設が少ない上、送電網の整備が行き届いていないため、全土での電化率は30%程度にとどまるという。ヤンマーは今回、送電網からの大電力を期待できない場所にバイオマスガス化発電プラントを建設し、はつd年した電力をすぐそばで消費する形を作った。ヤンマーは今後もミャンマーで同様の「分散型電源供給システム」を普及させることを目指すとしている。
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