設計時の変更に伴うCO2排出量の増減をシミュレーション
アスエネ株式会社(以下、アスエネ)は、製品やサービスの設計内容や素材の変更に伴うCO2排出量の増減をシミュレーションする機能「比較分析・シミュレーション」の提供を開始した。低炭素・脱炭素製品の開発・設計や調達判断を支援するという。製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)注1算定サービスである同社の「ASUENE LCA」の1機能として提供する。2025年7月18日に発表した。
LCA/CFPの改善効果や削減努力を把握可能に
比較分析・シミュレーションは、原材料の変更や活動量の増減といった設計変更がCO2排出量に与える影響を、原材料調達、生産、流通、使用、廃棄というライフサイクルステージで比較、分析する。LCAとCFP(カーボンフットプリント)注2の結果を年次、月次といった条件で比較でき、LCA/CFPの改善効果や削減努力を把握・説明可能にするという。
また、欧州では、EU域内に輸入される特定の製品に対し、その製造過程で排出された炭素量に応じて、EU域内の炭素価格に相当する支払いを義務付ける規制「CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism:炭素国境調整措置)」の導入が段階的に進んでいる。製品・サービスの設計段階からCFPを予測することにより、CBAMによる炭素コストを考慮した上で開発時の判断をできるようにするという。
アスエネによれば、CFPやLCAへの取り組みが製造業で進んでいる。しかし、LCA算定は各工程の活動量や排出原単位などのデータを適切に選定する必要があり、精緻な算定には高度な専門知識が求められる。さらに、製品ごとの設計変更や比較条件の設定には定量的な分析力が必要となり、算定にかかる負荷が大きいという課題があった。
加えて、欧州ではCBAMにより、2026年以降、鉄鋼やアルミニウムなどの対象品目を輸出する日本企業にも、製品単位でのCO2排出量報告が義務付けられる。このため、欧州と取引のある企業にとって、LCA算定への対応は急務となっている。
注1:LCA(ライフサイクルアセスメント):製品やサービスが原料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの全段階(ライフサイクル)における環境負荷を定量的に評価する手法。
注2:CFP(カーボンフットプリント):製品のライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO2量に換算して表示したもの。LCAの一種である。
参考サイト
PR TIMES 2025年7月18日、「アスエネ、製品のLCA算定サービス「ASUENE LCA」に「比較分析・シミュレーション」機能を追加」