神戸製鋼所、旭海運、三浦工業は、船舶搭載用バイナリー発電システムを実船に搭載しての試験が完了したと発表した。
神戸製鋼所、旭海運、三浦工業は2017年3月28日、船舶搭載用バイナリー発電システムを実船に搭載しての試験が完了したと発表した。3社は2014年4月から共同で開発を開始し、2015年9月には陸上での運転試験に合格、2016年12月には実船に搭載して海上での運用試験に合格し、一般社団法人日本海事協会の認証を取得した。実際の製品は2019年度に発売予定。
この発電システムは、船舶用エンジンが搭載するターボチャージャーが発する熱を利用するもの。これまでは使い道がなく、ただ放出していた熱源を利用して、船舶で消費する電力を作る。船舶用エンジンのターボチャージャーが発する熱を利用したバイナリー発電システムは、世界初となるという。
図 船舶用バイナリー発電システムの外観。船舶に搭載前の状態を撮影
出所 神戸製鋼所
海上試験では、船舶用エンジンの出力が7500kWのときに、125kWを発電できることを確認した。この発電量は、船舶が搭載する発電機の燃料を20~25%節約できる量になるという(さまざまな条件によって変動する)。
試験では、神戸製鋼所が船舶用バイナリー発電システムの開発を担当し、旭海運は同社が保有する大型石炭専用船「旭丸」に船舶用バイナリー発電システムの設置を担当した。三浦工業は熱源を回収する蒸発器を開発し、旭丸にバイナリー発電システムを搭載する改造において、常石造船が工事全体の管理を担当した。
今回、試験に合格したバイナリー発電システムは、エンジン出力5000kW以上の船舶に搭載可能で、船舶エンジンの負荷変動にも柔軟に対応し、低負荷時、高負荷時どちらでも安定して発電する。また、船体を切断するなどの工事をすることなく搭載可能であり、すでに就航している船舶にも搭載できるという。
船舶用バイナリー発電システムの販売窓口は神戸製鋼所となる。2019年度の発売に先立って、2017年4月から顧客向けの商品PRを始めるとしている。
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