フランスRenaultと、イギリスConnected Energy社は2017年8月29日、電気自動車(EV)で使用済みとなった蓄電池を活用した充電ステーションを、ベルギーとドイツの高速道路の休憩所に設置したと発表した。RenaultはEVに内蔵する蓄電池について、EVで使用できる期間は8~10年としている。ただし、その後もほかの用途なら十分に利用できることから、EVの使用済み蓄電池を活用する方法を模索している。例えば、2017年6月には、EVの使用済み蓄電池を住宅用定置型蓄電池として再利用する実験を実施すると発表している(参考記事)。
図 Renaultと、Connected Energy社が設置したEV向け充電ステーション
出所 Renault
今回設置した充電ステーションには、蓄電池を併設することで得られる大きなメリットがある。さほど大きな電力がなくても、急速充電が可能だという点だ。急速充電機能を持つ充電ステーションを建設しようとすると、大電力を運ぶ高圧線を引いてくる必要があるが、その工事には莫大な費用がかかる上、運営開始後の電力契約も高額なものになってしまう。
今回の充電ステーションはRenaultが提供するEVの使用済み蓄電池に、Connected Energy社が開発した「E-STOR」技術を組み合わせたものになっている。E-STOR技術は、小電力を少しずつ蓄電池に充電し、充電した電力をEVに大出力で放出する技術だ。この技術を活用することにより、大電力を引くことなく、急速充電が可能になり、送電線を引いてくるのが難しい場所にも急速充電対応の充電ステーションを建設できる。急速充電対応の充電ステーションを低コストで建設できるようになるため、RenaultとConnected Energy社は、ステーションの普及を促す技術と期待している。
Connected Energy社はこの形の充電ステーションの設置について数社と商談を進めており、今後数カ月の間に、イギリスとヨーロッパに追加で設置することを計画しているという。