トヨタ自動車は2017年10月18日、燃料電池バスのコンセプトモデル「SORA」を公開した。2017年2月に東京都交通局に納車した「トヨタFCバス」(参考記事)を基に、車体の周囲を監視する8台の高精細カメラや、車車間通信や路車間通信でバスの定時運行を支援する機能などを追加したものだ。トヨタ自動車はこのコンセプトモデルを基にした市販車を2018年に発売する予定を示している。また、10月25日から11月5日に東京ビッグサイトで開催予定の「東京モーターショー2017」にこのコンセプトモデルを出展するともしている。
図 トヨタ自動車が新たに公開した燃料電池バスのコンセプトモデル「SORA」
出所 トヨタ自動車
燃料電池車「MIRAI」に向けて開発した燃料電池スタックを2台搭載するなど、基本的な仕様はトヨタFCバスと変わらない。ニッケル水素蓄電池も併用したハイブリッド仕様で、緊急時には外部に電力を供給できるという点も共通している。
図 燃料電池バス「SORA」の基本的な仕様
全長/全幅/全高 | 10525/2490/3340mm |
定員(座席+立席+乗務員) | 79(22+56+1)人 |
燃料電池スタック | トヨタFCスタック(固体高分子形) |
燃料電池の最高出力 | 114kW×2(155馬力×2) |
モーター | 交流同期電動機 |
モーターの最高出力 | 113kW×2(154馬力×2) |
モーターの最大トルク | 335Nm×2 |
高圧水素タンクの搭載本数 | 10本(70MPa) |
高圧水素タンク内の容積 | 600リットル |
蓄電池 | ニッケル水素蓄電池 |
外部電力供給能力 | 9kW/235kWh |
出所 トヨタ自動車
SORAに新しく加わった機能としてはまず、バス周囲を監視する高精細カメラを合計8台搭載したことが挙げられる。歩行者や自転車の接近を検知し、運転手に音と画像せ知らせる。また、このカメラがバス停路面の誘導線を認識し、自動操舵と自動減速でバス停に自動的に停車させることも可能だ。停車位置の精度はバス停とバス車体の隙間が3cm~6cmで、バス停車位置から前後およそ10cmとなる。
さらに、急加速を抑制して発進時の加速を緩やかにする加速制御機能を搭載した。車内で立っている乗客が安定して立ち続けられるように配慮した機能だ。また、車車間通信や路車間通信で、バス同士の車群走行を支援したり、PTPS(Public Transportation Priority Systems:公共車両優先システム)と通信してバス優先で信号を制御する機能を追加した。バスの定時運行を支援する機能と言えるだろう。
トヨタ自動車はこのコンセプトモデルを基にした市販車を2018年から発売し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上を納車する予定を立てている。
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