ヤフーと東京都は2018年8月1日、環境省の公開データなどをAI(人工知能)で分析し、熱中症リスクを予測する実証実験を開始した。イベント会場など、混雑すると事前に予測できる場所の熱中症リスクを高い精度で予測するという。今回の実証実験は、東京都がデータ分析技術の活用方法などを検討する「熱中症予測実証実験」1つとして実施する。
予測には、環境省が「環境省熱中症予防情報サイト」で公開している「暑さ指数」のデータを利用する。暑さ指数とは正確には「湿球黒球温度(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)」と呼ぶもので、人体と外気の間での熱の行き来(熱収支)に着目した指標。気温だけでなく、人体の熱収支に大きな影響を与える湿度と日射・輻射など周辺の熱環境を合わせて算出するものだ。
今回の実証実験では、環境省の公開データに加えて、ヤフーが保持する精細な位置情報データと、分析対象地区の混雑情報を利用する。熱中症リスク予測モデルをヤフーが作成し、このモデルで各種データを分析し、約125m四方のエリアごとの熱中症リスクを予測する。
図 環境省の公開データとヤフーの独自データを合わせてAIで分析する
出所 ヤフー
ヤフーと東京都は今回の実証実験の結果を検証し、分析モデルの改善などを加えて、東京都公式の熱中症予防対策の一環とすることを目指す。さらにヤフーは、熱中症リスク予測結果の提供を自社サービスとして展開することも視野に入れているという。
さらにヤフーは行政機関とのデータ連携を重要な取り組みと位置付けており、今回の実証実験のように行政機関のデータと連携することで、全国の「街の再設計」を目指して活動を進めるとしている。
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ヤフー