Dysonは2018年8月30日(グリニッジ標準時)、同社のTwitterアカウントへの投稿で、建設中だった電気自動車開発拠点が完成し、業務を開始したと発表した。新しい拠点はロンドンから西に140kmほどの位置にあるハラビントンという街に開設した。この地にあるハラビントン飛行場を買い取り、業務拠点として利用できるように改造を進めていたものだ。2017年9月に電気自動車市場への参入を明らかにしたDysonが(参考記事)、その活動を一気に拡大する。
図 Dysonの新拠点に建つオフィスビル。第二次世界大戦当時から建っている戦闘機格納庫を改修し、オフィスとして利用できるようにした
出所 Dyson
ハラビントン飛行場はイギリス空軍の基地であり、第2次大戦直前の1937年に建設されたものだ。2016年にイギリス国防省が国内の軍用地を整理する方針を示し、ハラビントン飛行場などの軍用施設を廃止し、民間に売却すると発表した。Dysonはこの発表を受けて、ハラビントン飛行場を購入し、改築を進めていた。
今回開設したのは、新拠点のオフィスビル。第二次世界大戦当時から建っている戦闘機格納庫を改修し、オフィスに必要な設備を設置したものだ。Dysonで電気自動車の開発に携わっている約400名の従業員は新拠点に移動して、業務を開始している。
図 戦闘機格納庫を改修したオフィスの内部
出所 Dyson
Dysonはこのオフィスの改修に、およそ8500万ポンド(121億5500万円:1ポンド=143円で換算、以下同様)を費やしたという。しかしこれは始まりに過ぎない。今後、ハラビントンの拠点に2億ポンド(286億円)をさらに投資するとしている。
図 新オフィスに集まった従業員を歓迎するスピーチを披露したJames Dyson氏
出所 Dyson
オフィス開設に続いてDysonが計画しているのが、開発中の電気自動車のテストコース建設だ。ハラビントン飛行場は広さおよそ750エーカー(約305万m2)。この広大な敷地に広がる滑走路などを改修して大規模なテストコースを建設する。
図 テストコースの完成予想図
出所 Dyson
Dysonはさらに、2000人以上の従業員を収容できるオフィスビルの建設も予定している。このオフィスビルはカフェやスポーツ施設を併設する予定で、来訪者にDysonが開発する電気自動車をより深く知ってもらうための展示施設も設置するとしている。