インターネットの父ヴィントン・サーフ氏も参加
〔1〕IETFとW3Cの共同会合も開催
IETF 94 Yokohama(表1)は、アジェンダ(検討課題注2)に見るように、Web関係の標準活動を展開するW3C注3との戦略的会合も開かれた。そのため、
- インターネットの父と言われるTCP/IP開発者のヴィントン・サーフ氏(Vinton Gray Cerf。W3Cボード、Google)
- World Wide Web(Web)の発明者であるティム・バーナーズ・リー氏(Tim Berners-Lee。W3Cの創設者)
- W3C代表(CEO)であるジェフ・ジャフィー氏(Jeff Jaffe。元ビル・クリントン大統領諮問委員会委員、元ベル研所長)
など、そうそうたるメンバーが参加した。
「IETFとW3Cの両者による戦略的なテーマも話し合われ、次世代のインターネットに向かって新しい一歩を踏み出す歴史的な会合ともなった」とIETF 94 Yokohama日本委員会委員長、江崎浩氏(東京大学教授)は語る。
表1 IETF 94 Yokohama(第94回IETFミーティング)のプロフィール(敬称略)
出所 各種資料から編集部が作成
〔2〕日本の先進的な役割と求められる強力なIPインフラ
また、日本のインターネットの父とも言われ、2015年10月にIoT推進コンソーシアムの会長に就任した、慶應義塾大学の村井純教授(元WIDEプロジェクト代表)による、ホストプレゼンテーションも行われた。村井教授は、日本のインターネットのこれまでの取り組みを整理し、現在、インターネットが直面している要求条件などを中心にアピールした。
特に、WIDEプロジェクトを中心に日本が先進的な役割を果たしてきたIPv6の実現とその普及を持続的に展開してきたことを整理して述べた後、今後は、次世代に向けたインターネットのアーキテクチャの検討をはじめ、IoTやビッグデータ、AI(人工知能)への対応、さらに急増するインターネット上のビデオストリームへの対応が重要であると述べた。
また、これらの課題を実現し、IETFがさらなる前進をしていくうえでは、新しいアプリケーションに対応できるセキュアで強力なIPインフラの構築が求められることを強調した。
次に、今回の「IETF 94 Yokohama」におけるトピックをいくつか紹介しよう。
▼ 注1
IETF:Internet Engineering Task Force、インターネット技術標準化委員会
▼ 注2
・参考サイト⇒https://www.ietf.org/blog/2015/11/
・アジェンダ⇒https://datatracker.ietf.org/meeting/94/agenda.html
▼ 注3
W3C:ダブリュスリーシー。World Wide Web Consortium、Webコンソーシアム。Web関連の標準規格を策定している国際的な団体。例えば、HTMLやHTTP、XMLなどの仕様もここで制定された。