California New Car Dealers Association(CNCDA)は2017年5月16日(米国時間)、2017年第1四半期のカリフォルニア州における乗用車の新車販売台数の調査結果を発表した。CNCDAはカリフォルニア州の新車ディーラーや自動車メーカーなど1100社を超える企業が参加している業界団体だ。
調査によると、2017年第1四半期の乗用車の新車登録台数は50万6745台。前年の第1四半期に比べると0.7%増加している。このペースで新車登録台数が推移すれば、2017年全体では202万6980台となる計算だ。前年比でほぼ横ばいと言ったところだ。
その中で、プラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)は登録台数を伸ばしている。2017年第1四半期におけるPHVの新車登録台数は1万466台で、全登録台数のうち2.1%となる。過去四年間、全登録台数に置けるPHVの比率は1.2%、1.6%、1.4%、1.7%と1%台を推移していた。今年は過去最高の新車登録台数を記録する可能性が高い。
さらに登録台数を伸ばしているのがEVだ。2017年第1四半期、EVの新車登録台数は1万3804台。全登録台数のうち2.7%を占める。EVの全登録台数における比率は2016年の1.9%が最高で、2%を超えることはなかったが、2017年は第1四半期だけで2%台後半となる値を記録した。この比率でEVが売れ続けると仮定すると、2017年のEVの新車登録台数は5万5216台となる。2016年のEV新車登録台数が4万347台だったので、前年比でおよそ37%増という計算になる。これも、過去最高の数字だ。
図 カリフォルニア州におけるEVの新車登録台数の推移。2017年通年の数字は予測値
出所 IHS Markit
2017年第1四半期にEVがこれだけ新車登録台数を増やした背景にはさまざまな理由があるだろう。電気自動車を動かすために欠かせない充電器の整備が進んだということや、電気自動車購入者に対する税制優遇措置なども効果を発揮していると考えられる。
しかし最大の理由はおそらく、2016年12月にGeneral Motorsが発売した「Chevrolet Bolt EV」だろう。蓄電容量60kWhのリチウムイオン蓄電池を搭載して、満充電状態からの航続距離を238マイル(約383km)まで伸ばした車種だ。しかも販売価格は3万7495ドル(427万4430円:1ドル=114円で換算)から。多くの人にとって手の届く価格で、連続383kmの走行を可能にしたという点が人気を集めた要因だろう。しかも、アメリカでは電気自動車購入者には税制優遇の制度がある。Chevrolet Bolt EVの場合、7500ドル分の優遇措置を受けられる。大ざっぱに計算すると29995ドル(341万9430円:1ドル=114円で換算)でChevrolet Bolt EVが買えるということだ。さらに、州によっては追加の補助金を支給するところもある。
図 General Motorsの「Chevrolet Bolt EV」
出所 General Motors
カリフォルニア州は、排ガスを出さない自動車(ゼロエミッション車)の普及を促進する「Zero Emission Vehicle Program」を推進しており、新車販売業者には一定の割合のゼロエミッション車を販売することを求めている。州は2018年から総販売台数のうち4.5%以上をゼロエミッション車とすることを求める姿勢を見せている。ちなみに州が「ゼロエミッション車」と認めているのは燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)だ。
州はこの目標を年々上げていき、2030年にはカリフォルニア州登録の自動車のうち400万台以上をゼロエミッション車とする目標を掲げている。2017年以降はヨーロッパの大手自動車メーカーからも、航続距離を大幅に伸ばした電気自動車の新型が登場する予定となっている。ガソリン車よりも割高な電気自動車を販売するディーラー担当者は苦労すると思うが、電気自動車の航続距離が伸びていけば、意外と早くガソリン車が過去のものになるかもしれない。