[クローズアップ]

【第45回東京モーターショー2017】加速するEV(電気自動車)時代へのパラダイムシフト

― IoT/AIと自動車の融合、ZEV実現に向けた「RE100」と「水素協議会」の動き ―
2017/12/08
(金)
奥瀬 俊哉 インプレス SmartGridニューズレター コントリビューティングエディター

第45回東京モーターショー2017(TMS2017)は、IoT/AIと自動車との融合やコネクテッドカー、自動運転車、電気自動車(EV)、次世代蓄電池などに多様な関心と期待が高まるなか、2017年10月27日〜11月5日、東京ビッグサイトで開催された。会場には、国内メーカーから17ブランド、海外メーカーから13ブランドの計380台のクルマが出展され、77万1,200人が訪れた(表1、表2)。
今回のモーターショーは、エンジン自動車からEV時代へと歴史的転換が加速していること、「人類を守る視点」から、クルマの生産から利用、廃棄に至る全プロセスで「エコであること」が国際的責務になってきたことが、浮き彫りになった。
ここでは、モーターショーのトピックスを中心に、次世代蓄電池への取り組みや、ZEV(Zero Emission Vehicle)実現に向けた「RE100」(再エネ100%を目指す国際プロジェクト)や「水素協議会」の動きを紹介する。

表1 第45回東京モーターショー2017のプロフィール

表1 第45回東京モーターショー2017のプロフィール

出所 http://www.tokyo-motorshow.com/outline/をもとに編集部作成

表2 国内外の出展車両ブランド(2017年10月25日現在)

表2 国内外の出展車両ブランド(2017年10月25日現在)

出所 東京モーターショー2017「SHOW GUIDE」、2017年10月25現在

スマートコミュニティと自動車の融合ポイント

〔1〕現実的となるV2H/H2Vの市場

 スマートコミュニティ市場では、2019年からFIT(固定価格買取制度)期間が終了するため、売電するよりも自宅で消費したほうが得をする、住宅用太陽光発電(住宅用PV)が出現する(2019年問題)注1

 そこで、この2019年問題へ向けて、政府から需要家宅に蓄電池などの設置を促す補助事業を2018年4月から行うことが提言されている注2

 このように、蓄電池を需要家宅へ設置することによって、スマートハウスをはじめとするHEMSビジネスが、ようやく現実的に始動することになる。これが動き始めると、「走る蓄電池」ともいえる電気自動車がスマートハウスと連携することによって、V2H/H2V注3の利用が進展することになる。

〔2〕ホンダ:EVコンセプトカー「Honda Sports EV Concept」

 このような動きを背景に、ホンダでは、すでに持続可能な社会に向けて、モビリティ(自動車)と暮らしをつなぐパワーコンディショナー「Honda Power Manager Concept」を開発し、2017年9月にフランクフルトモーターションで公開した。さらに、フランス政府が主導するSMILE(SMart Ideas to Link Energies)プロジェクト注4に参加し、フランス西部で2020年までに展開される実証実験に同製品を提供すると発表した。

 これによって、太陽光や風力などの再エネや電気自動車、コージェネレーションシステム、ガソリン発電機などから家庭に供給される電力を、1台でコントロールし、最適なエネルギー管理ができるようになる。

 従来の、家庭で消費するエネルギーを家庭でつくる、エネルギーの“家産家消”に加え、家庭が電力網と接続して社会とつながることによって、電気自動車への充電はもちろん、電気自動車のバッテリー(蓄電池)に蓄えた電力などを、仮想発電所(VPP)として活用することも可能となる。毎日の暮らしにエコで経済的な電力を安定して提供することによって、持続可能な社会を実現するため、今回のモーターショーでホンダは、新EVコンセプトカー「Honda Urban EV Concept」と「Honda Sports EV Concept」(写真1)を公開、2020年から日本市場へ投入される。

写真1 ホンダのEVコンセプトカー「Honda Sports EV Concept」

写真1 ホンダのEVコンセプトカー「Honda Sports EV Concept」

出所 編集部撮影

〔3〕日産:世界初のEVコンセプトカー「ニッサン IMx」を公開

 日産自動車は、完全自動運転時代の到来を見据え、AI機能も搭載した100%電気自動車であるゼロエミッションのクロスオーバーコンセプトカー「ニッサン IMx」(写真2)を世界で初めて公開した。

写真2 日産が発表した世界初のEVコンセプトカー「ニッサン IMx」

写真2 日産が発表した世界初のEVコンセプトカー「ニッサン IMx」

出所 編集部撮影

 パワートレイン(動力伝達装置)は、高出力モーター2基を前後に搭載したツインモーター4WDを採用しており、320kW(最高出力)/700Nm(最大トルク)を発生する。さらに、エネルギー密度を高めた大容量バッテリーによって、航続距離600km以上を可能とした。

 駐車している間は大容量バッテリーを活用し、従来のV2HやV2Bだけでなく、VPPの一端を担って、スマートなエネルギー管理も可能とする。2020年代初頭に市場に投入される。


▼ 注1
2019年問題:2019年から住宅用PVのFIT買収期間が終了する問題。住宅用PVは、FIT制度(固定価格買取制度、2012年7月開始)に先駆けて2009年11月から余剰買収制度が開始され、10年間の買収期間が設定された。2019年11月からFITによる買収期間が終了する。これに関連して2017年4月1日から、改正FIT法が施行された。

▼ 注2
http://www.env.go.jp/guide/budget/h30/h30juten-sesakushu/003.pdf

▼ 注3
V2H:Vehicle to Home、家庭から電気自動車への給電。H2V:Home to Vehicle、電気自動車から家庭への給電

▼ 注4
SMILE(SMart Ideas to Link Energies)プロジェクト:IoT技術の活用や再生可能エネルギーの効率的な利用などを促進する、国家プロジェクト

ページ

関連記事
新刊情報
 2015年頃より、IoT(InternetofThings)や人工知能(AI)が注目され始め、これらの技術を使って家電や自動車などあらゆるモノがネットワークにつながり、効率的な社会を創造することが期...
 いよいよ日本でも、IoT時代に必須のLPWA(Low Power wide Area、省電力型広域無線網)サービスがスタートします。  第4次産業革命に向けて、エネルギー、ヘルスケア、製造業、...
 NIST(米国国立標準技術研究所)が2009年11月に立ち上げた委員会「SGIP」(スマートグリッド相互運用性パネル)は、2013年にSGIP 2.0となり、新たな活動を展開している。  SG...