イギリスWilliams Advanced Engineering社は2017年9月6日(現地時間)、電気自動車(EV)専用設計の車台「FW-EVX」を発表した。同社はF1のWilliamsチームを運営するWilliams Grand Prix Engineering社の関連会社であり、電気自動車だけが参加するレース「Formula E」の各チームに蓄電池を供給しているほか、高級スポーツカーメーカーに車台設計などで協力してきた実績を持っている。
図 Williams Advanced Engineering社が発表したEV専用設計の車台「FW-EVX」
出所 Williams Advanced Engineering
Williams Advanced Engineering社は現在、各自動車メーカーが内燃機関(エンジン)から電気で動くモーターへの転換に挑んでおり、数々の障壁の中で、最も効率が良いEVを作るために多大な労力を費やしているとしている。
そこで同社は発想を変え、内燃機関からの転換から発想するのではなく、EVの設計はどうあるべきか、どう生産すべきかという地点から考えたという。その上で、どのようにEVを軽くしていくか、長い距離を走れるようにするか、高い性能を発揮できるようにするか、そして環境にやさしいものにしていくかといったことを考えていったとしている。
同社はその例として、サスペンションの部品製造工程を挙げた。この部品は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)でできており、製造工程はほぼ自動化している。その結果、アルミニウム合金でできている既存の部品に比べて40%も軽い部品を、廃棄物をほとんど発生させることなく生産できているという。
また、板や布など、2次元の素材を加工して3次元の高い強度を持つ構造物を形成する方法も新たに開発したという。その結果、車体底部にある蓄電池を収める部分を軽く、高い強度で作ることに成功しているとしている。
同社のテクニカルディレクターを務めるPaul McNamara氏は「F1の車両を作るときも、顧客の車台を作るときも、Williamsは常に効率の良いものを作ることを強く意識してきた。そして、軽量なシャーシに動力伝達機構を緊密に統合することも常に考えている。この経験と培ってきた技術を活かせば、次世代の電気自動車の中でも高い競争力を持ったものを作れるはずだ」と自信を見せている。
そして社長のCraig Wilson氏は、「今回発表した車台は、Williams Advanced Engineering社がこれから進むべき道を示している。我が社の研究開発チームが独自技術を開発し、それらを特許として申請していく。この道には大きなビジネスチャンスがあると信じている」と、EV業界での戦略を示した。