Volkswagenは2018年3月23日(中央ヨーロッパ時間)、2018年のThe Pikes Peak International Hill Climb(2018年6月24日~30日に開催予定)に出走するために開発している電気自動車(EV)のイメージを公開した。同社は2017年10月に、2018年のThe Pikes Peak International Hill Climbに挑戦することと、専用のEVを開発していることを明らかにしている(参考記事)。
図 Volkswagenが公開した開発中のEVのイメージ
出所 Volkswagen
このEVの名称は「I.D. R Pikes Peak」。「ワーゲンバス(Volkswagen Type 2)」のデザインを基にした「I.D. Buzz」など、同社が市販に向けて開発中のEVに共通する名称とした。Volkswagenは、I.D. R Pikes Peakの走りぶりが、市販予定のEV「I.D.シリーズ」に投入予定の技術の見本になると考えている。
I.D. R Pikes Peakが狙うのは、改造電気自動車部門の新記録。現在のところ、この部門の最速記録は、2016年にニュージーランドのプロドライバーであるリース・ミレン(Rhys Millen)選手が記録した8分57秒118。この時に使用した車両は、ラトビアのDrive eO社が開発したEV「eO PP100」だ。Volkswagenはこの記録に追い付くには全長12.42マイル(約20km)のコースを、156のカーブをすり抜けながら、平均時速83マイル(約134km)で走り抜けなければならないと見積もっている。
そして、2018年のThe Pikes Peak International Hill ClimbでI.D. R Pikes Peakを運転するのはフランスのプロドライバー、ロマン・デュマ(Romain Dumas)選手だ。デュマ選手は2014年、2016年、2017年の同大会で総合優勝に輝いており、新記録樹立を狙うVolkswagenにとっては打ってつけの人選と言えるだろう。
The Pikes Peak International Hill Climbでは、標高9390フィート(約2862m)の地点から出走し、標高1万4115フィート(約4302m)の山頂にゴールする。Volkswagenは、コースの標高の高さが、EVに有利に働くと見ている。エンジンは空気と燃料の混合気を燃焼させるため、標高が高い場所になると空気が薄くなって、出力が下がるからだ。ちなみに、総合部門の最速記録は2013年にフランスのセバスチャン・ローブ選手が「Peugeot 208 T16 Pikes Peak」に乗って記録した8分13秒878。この記録にどれほど迫れるか、注目が集まるところだ。
Volkswagenの取締役で、技術開発の責任者であるFrank Welsch博士は「Volkswagenは、今後発売するI.D.シリーズで電動車の世界的なリーダーの地位を確立したいと考えている。厳しい登坂路を走るレースにI.D. R Pikes Peakで挑戦することは、市販のEVの開発に向けた良いテストになるだろう」と、記録更新に向けて意気込みを見せた。
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