日本ベネックスと住友商事は2018年4月17日、日本ベネックス本社工場で「みらいの工場」プロジェクトを開始すると発表した。日産自動車の電気自動車(EV)「LEAF」が内蔵するリチウムイオン蓄電池で使い古しとなったものを再利用した定置型蓄電池に、EV車両と太陽光発電システムを利用して、工場の電力コスト削減を目指す。
図 使い古しの車載用蓄電池をコンテナに詰め込んだ定置型蓄電池
出所 日産自動車
定置型蓄電池は20フィートコンテナに、EVの使い古しの蓄電池を24台分詰め込んだもの。出力は400kWで蓄電容量はおよそ400kWh。VPP(Virtual Power Plant)の標準プロトコル「OpenADR」の通信に対応し、サーバーなどが通信で充放電を指示することも可能だ。将来は、この定置型蓄電池とEVを組み合わせてVPPを構成し、地域の電力需給調整に貢献する計画だという。日本ベネックスと住友商事は富士電機と共同で、今回使用する定置型蓄電池を製品化して発売する。今後、さらに大規模なものも開発、発売する計画も示している。
工場に設置した太陽光発電システムの出力は596kWh。このうち276kW分を今回のプロジェクトで使用し、残りの320kW分は電力会社に売電する。EVは日産自動車の「e-NV200」を10台使用する。工場の電力需要がピークに達するときは、定置型蓄電池とEVに充電した電力を使用し、電力会社からの買電量を最小化する。
日本ベネックスと住友商事は、今回のプロジェクトで電力供給の安定化や供給の最適化などの知見を積み重ねて、VPP構築やディザスタリカバリ対応などの事業を展開する方針を示している。