[スペシャルインタビュー]

国際標準である「KNX」がいよいよ日本市場へ進出

KNX 協会会長 Heinz Lux(ハインツ・ラックス)氏に聞く!
2014/01/01
(水)

KNXの守備範囲と具体的な機能

─ 新谷:ところで、KNXは家庭やビルの両方の制御に使うことのできる規格ということですが、具体的な守備範囲について教えてください。

Lux:KNXは、一般住宅から、オフィスビル、ホテル、カンファレンスセンター、病院、学校、百貨店、倉庫、空港、工場・インテリジェントビルのオートメーションにまで、さまざまな用途に使われています。

─ 新谷:守備範囲が広いですね。具体的には、これらの家庭やビルの中でどのようなものの制御に用いられているのでしょうか?

Lux:図1をご覧ください。照明やブラインド、空調、換気、暖房等の制御や、計測、監視、セキュリティ、エネルギー管理等さまざまな機能の実現にKNXが使われています。

図1 KNXで実現される機能

図1 KNXで実現される機能

〔出所 KNX資料、「ホーム・ビル制御の国際規格」より〕

 また図2は、一般家庭内の照明や暖房の制御、窓接点センサーや動作感知器によるセキュリティ監視、シャッターの開閉制御などを行うKNX製品を有線・無線で制御するシステム構成例を示しています。

図2 KNXで実現した高齢者支援住宅事例

図2 KNXで実現した高齢者支援住宅事例

〔出所 KNXソリューション、「自立生活支援事例」より〕

 KNXでは、伝送メディアとして、有線(ツィストペアあるいは電力線)、無線、イーサネット/IPを、1つのシステムの中で自由に組み合わせて使うことが可能ですので、住宅やビルを新しく設計する場合だけでなく、既築の住宅・ビルの制御にも利用可能です。

─ 新谷:現在、KNXのユーザー数は世界中でどのくらいでしょうか?

Lux:36カ国300以上の企業から、これまで累積で7,000種類のKNX製品が作られています。KNXパートナーは、世界124カ国で39,000以上になっています。

─ 新谷:そうすると、世界中で何軒あるいは何棟のビルでKNXが使われていることになるのでしょうか?

Lux:KNX協会にとってユーザーというのはKNX製品メーカーであり、KNXパートナーです。KNX製品メーカーが提供するKNX製品を組み合わせて、住宅やビル制御システムを誰がどこで作っているかという情報はKNX協会には届いてきませんので、残念ながらその数は把握していません。

 ただ、KNX協会最大の会員であるABB、SIEMENSおよびSchneider Electricの方達から聞いた話を総合すると、家庭用とビル用を合わせて1,000万くらいには達していると思われます。何しろ、KNXは使われ始めてすでに24年経過していますから。

 例えば最近のKNX適用事例では、空港が多いですね。上海空港や北京空港、深セン空港、広州空港、ニューデリー空港、ボンベイ空港、シンガポール空港のビル設備の制御に使われています。スポーツ施設でもKNXが採用されていて、北京五輪の会場である「鳥の巣」や、2014年ワールドカップが開催されるリオデジャネイロの競技場でもKNXが採用されています。

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