2016年8月25日、カルビー株式会社(以下:カルビー、東京都千代田区、代表取締役社長 兼 COO:伊藤 秀二)、キヤノン株式会社(以下:キヤノン、東京都大田区、代表取締役会長 CEO:御手洗 冨士夫)、久光製薬株式会社(以下:久光製薬、東京都千代田区、代表取締役社長 最高執行責任者(COO):中冨 一榮)、東京ガス株式会社(以下:東京ガス、東京都港区、代表取締役社長:広瀬 道明)、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下:TGES、東京都港区、代表取締役社長:野畑 邦夫)らは、栃木県宇都宮市にある清原工業団地内の隣接する既存7事業所※1における、省エネ・CO2削減およびBCP(事業継続計画)の強化を目的とした電力と熱(蒸気や温水)の供給契約を締結したことを発表した。
TGESは、3万kW級のガスコージェネレーションシステム(以下:ガスコージェネ)を備えた「清原工業団地エネルギーセンター(仮称)」および電力自営線などの供給インフラの建設に2016年10月より着手し、2019年1月の竣工を目指す。
内陸型工業団地において、異業種複数事業所向けに電力と熱(蒸気や温水)を合わせて供給する取り組みは、国内初の「工場間一体省エネルギー事業」※2となる。
図1 清原工業団地エネルギーセンター(仮称)の外観イメージ図
◆清原工業団地エネルギーセンター(仮称)概要:
項目 | 内容 |
---|---|
予定工期 | 2016年10月~2019年1月 |
敷地面積 | 約20,000m2 |
延床面積 | 約5,000m2 |
需要家敷地面積合計 | 約608,000m2 |
エネルギー供給設備 | ・ガスコジェネレーションシステム(3万kw級) ・蒸気ボイラ(45t/h級) |
同事業は、省エネやCO2削減によって環境負荷低減を目指すカルビー、キヤノン、久光製薬の3社が、ガスコージェネの導入などの実績を持つ東京ガスおよびTGESと連携して検討を進めてきた。時間や時期によって需要状況の異なる異業種複数事業所の電力と熱(蒸気や温水)の情報をエネルギーマネジメントシステム※3に集約し、電力と熱(蒸気や温水)を効率的に供給することで、約20%の省エネ※4およびCO2排出量の約20%削減※5が見込まれており、事業所単独では実現できない規模の環境負荷低減が可能となる。さらに、ガスコージェネにブラックアウトスタート※6仕様を採用することで、停電時における各事業所への電力と熱(蒸気や温水)の供給が可能となり、供給安定性が向上する。(図2参照)
図2 電力と熱(蒸気や温水)の供給概要図
センターの建設は、国の温室効果ガス排出削減目標等を踏まえて策定された栃木県の「とちぎエネルギー戦略」、宇都宮市の「宇都宮市地球温暖化対策実行計画」などに合致しており、モデル事業としての全国への発信が期待される。また、工場の省エネルギー化を支援する経済産業省の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」に採択されている。
※1 7事業所の内訳:
- カルビー:新宇都宮工場、清原工場、R&Dセンターの3事業所
- キヤノン:宇都宮工場、宇都宮光学機器事業所、光学技術研究所の3事業所
- 久光製薬:宇都宮工場の1事業所
※2 複数の既設の工場間において、生産ラインの統合やユーティリティーの共有によるエネルギーや生産品などの相互融通により、一体となって省エネルギーを行う事業。
※3 各社のエネルギー使用量を可視化し、電力・熱負荷傾向を予測することで、ガスコージェネの最適運転制御を行うためのシステム。
※4 カルビー、キヤノン、久光製薬の3社が、7事業所において電力・ガスを2015年度に使用した実績(3社合計値)に対する削減率。原油換算約▲11,400kL/年。
※5 カルビー、キヤノン、久光製薬の3社が、7事業所において2015年度に排出したCO2の3社合計値に対する削減率。約▲23,000t/年。
※6 停電状態で発電機を自立起動させ運転を再開する方式。電力自営線の敷設および、災害に強い中圧ガス導管を活用することにより、系統電力が停電しても電気と熱の供給継続が可能となる。