ギガファクトリーで円筒形「2170セル」の生産開始
〔1〕「モデル 3」用は2017年第2四半期から
2017年1月4日、テスラは、同社の最新鋭のバッテリーセル(蓄電池)の生産工場「ギガファクトリー」(Gigafactory、米国ネバダ州。写真2、写真3)において、テスラとパナソニックが共同開発した高性能で低コストな円筒形「2170セル」(直径:21㎜、高さ:70㎜、写真4)の生産を開始したことを発表した(表2)。
写真2 テスラのギガファクトリー完成予想図(太陽光発電と風力発電による電力供給)
写真3 テスラのギガファクトリー「2017年1月4日現在」の外観
写真4 円筒形「2170セル」(左)とギガファクトリーの生産ラインで製造中の「2170セル」(右)
出所 CES 2017におけるパナソニックプレスコンファレンス:#CES2017 Panasonic Press Conference
表2 ギガファクトリーのプロフィール
表3 新機種「モデル 3」の仕様
出所 https://www.tesla.com/jp/model3を元に編集部作成
すでに、検証用の2170セルの生産は2016年12月から開始されているが、2017年1月4日からは、
- 一般家庭向け蓄電池「パワーウォール2」(Powerwall 2)
- 企業や電力会社向け蓄電装置「パワーパック2」(Powerpack 2)用セルの生産が開始された。さらに、
- EVの新機種「モデル 3」(Model 3、写真5、表3)用のセルの生産開始は、2017年の第2四半期から予定されている。
写真5 テスラの新機種「モデル3」(EV)の外観
〔2〕kWhあたりのコストを30%以上削減
テスラは、2010年代後半から年間50万台の車を生産することを計画しており、そのため、ギガファクトリーをはじめ、全世界におけるテスラのリチウムイオン電池の生産量をすべてテスラで使用する。
今回稼働したギガファクトリーにおけるリチウムイオン・バッテリーセルの生産量は、2018年までに年間35GWhに達する予定で、これはギガファクトリーを除く全世界で生産されるバッテリーの総量とほぼ同量となっている。
ギガファクトリーは段階的に建設されているため、完成した部分でテスラ、パナソニック、およびその他のパートナー企業がすぐに生産を開始することが可能となっている。また、パナソニックなどの提携先と協力し、革新的な製造方法、廃棄物の削減など、ほとんどの工程を1つの工場内で行うことによって、バッテリーのコストを大幅に削減する。これによって、バッテリーパックのkWhあたりのコストを、30%以上削減できると予測している。
さらに、ギガファクトリーでは、太陽光発電や風力発電などの再エネを使用し、ネットゼロエネルギー注2化を目指している。
▼ 注2
ネットゼロエネルギー:省エネによってエネルギーの消費量を減らし、また消費したエネルギーと同等のエネルギーを創出すること。つまり、エネルギーの消費量から生産量を差し引いてゼロにすること。